2012/06/10

書評 抗がん剤・放射線治療と食事のくふう

抗がん剤・放射線治療と食事のくふう 症状で選ぶ!
がん患者さんと家族のための (がんよろず相談Q&Aシリーズ)

家族が、知人ががんになったとき、今まで直面したことのない、多くの困難にぶつかる。
そんなとき、おいしい食事を囲み、団欒するひとときは、かけがえのない時間になる・・・はずなのだが、患者が何だか味が違う、おいしくないともらすことがあったり、患者が食事を作った場合には、味付けがおかしい、といったこともある。
特に、化学療法を受けている場合、味覚の変化はある程度仕方ないと思うが、食べる気力が失われていく姿を目の当たりにして、放っておける人は少ないのではないだろうか。

自分も、家族ががんにかかったとき、アイスが食べたい、XXが食べたい、色々聞いては、用意をしても、いざ食べ始めると、一口で、おいしくない、と言われ、残りを自分で食べるようなことがよくあった。

味覚がどう変わっているのか、どういったものが喉を通りやすいのか、そのときなりに一生懸命考えたつもりだが、理解が足らなかったと反省している。

今日紹介する本は、前半はレシピ本のような体裁、後半は症状別のアドバイスとなっていて、気楽に眺めることもできる。
また、本の中身はウェブでも公開されているため、まずは下記のサイトを見ることを勧める。

サバイバーシップ(http://survivorship.jp/)

患者の声はもちろん、栄養士だけでなく、医師、看護師からのアドバイスを載せている点は、非常に参考になるのではないだろうか。例えば、「白血球減少時のアドバイス」として、ナマモノを避け、加熱したものを、なんていうコメントは、なかなか他の本では見かけることができないだけに、ぜひ、手に取っていただきたい本である。

なお、海外の書籍では、もっと簡単なフレーズだけを取り上げ、説明しているものも見られる。
日本では中身が足らないように思えてしまい、売れないのかもしれないが、患者が、その家族・周囲の人が理解するためには、そういった本も良いように思う。今後、紹介しようと思う。