2012/08/14

書評: 「病気の値段」の怖い話

この本は医療者・患者、両サイドのバランスが良く取れていて、読みやすく、事の本質をついているように感じる。タイトルは仰々しいが、中身は真っ当な話。

医療者、患者の両視点で、とても良い本だと思う。

■患者視点
「医者がどういう論理で動いているか。その裏側を知ることにより、よりよい医療を受けることができる本」

■医療者視点
「医者がどういうことをしてはいけないのか。賢い患者は本質を見抜く力がある。良い医者になるには、どうしたらよいか教えてくれる本」


特に、医療者視点での指摘は、下手な開業支援の本や、マーケティングの本より、本質をついていると思う。本からの引用だが、
患者の話をよく聞くことが本当に大事だなと実感したよ。限られた時間の中で、そういうことができる医者が本当に良い医者なんだ
良い医者を見抜く方法を伝授してくれているのだが、この言葉は本当に重い。こういった医療者を、患者が選び、大事にしていかなければならない。

本の最後、こんなことも書いてあった。
医療費に関しても、患者はもっと賢くなるべきです
患者が賢くなること。それが、良医を育てる近道だと改めて感じた。
また、この本の中で、若干、学歴偏重のメッセージがある点は、医療者の感じる素直な観点として、興味深い。患者側は、情報の非対称性ゆえ、医療者の技量を測る術がない。そういった意味で参考になるが、個人的にはどこまで参考になるか良く分からない気がする。

この本、患者向けの本としては、ややありきたり感があるものの、医療者側が読む本としては良い本だと思う。