2012/10/26

日経産業新聞 ビッグデータを生かす(ITが導く医の進化論)

24日、25日、26日と3日間の連載だったが、コンパクトな記事でエッセンスが詰まっていたように思う。

25日の「病院経営、効率も質も」の回では、がん研有明の抗生剤のジェネリック切り替え検討や、済生会吹田の鼠径ヘルニアの術後X線撮影実施の標準化検討が出ていた。このような検討は、この夏まで、インサイダーな立場だったため、目新しさはまったくないものの、このような話題が、経済誌に出てくること自体が好ましいことである。

26日は、クラウド・・・という話題をしつつも、前半は入念なバックアップしてこなかった時代遅れな医療業界の話で、金融業界などと比べると、まだまだ周回遅れな話題。

話は新聞記事からそれるが、先日、エパデールのスイッチOTCが了承された。薬局でエパデールのOTCを買うシチュエーションを考えると、薬剤師は、客のこれまでの病歴や血液検査結果、薬歴を知りたいのではないだろうか。薬局で、そこまでの情報を聞かれたことはない。エパデールのOTCを本気で売りたいなら、これらの情報を聞き、管理するだけの覚悟が求められる気がする。

本題の新聞記事に戻すと、3日間通して、共通していたのは、医療機関や調剤薬局の情報を収集し、分析することで、新しい価値が提供できるという話だ。エパデールのOTC販売時の薬局における患者情報の必要性も然り、価値があるのならば、様々な情報は連携すべきだろう。個人情報の保護の観点で、医療情報は機密性が高いからといって連携を避けるのではなく、どういった価値が提供できるか明確にした上で、連携してくことが重要である。

新聞記事のまとめでは「データの精度を高めていくことが重要」とある。単体のデータの精度も重要だが、複数データの組み合わせや、足りないデータを補うことで、医療の質をあげるために意味あるものにすることが真に重要なことだと思う。記事中、元トーマツの井上氏のコメントで「DPCのデータベースには限界がある。電子カルテとレセプトを組み合わせた活用が必要だ」と。まさに、そのとおりだと思う。