2012/11/06

がん対策の指標評価

がん対策推進協議会を傍聴してきた。
これまで、議事録を読んだりすることはあったものの、直接会場まで足を運ぶことはなかったのだが、先日、門田先生から話を聞いた際、局所的な議論でなく、もっと大局的な議論をしなければいけない場だとおっしゃっていたので、ちょうど時間の都合もついたため、厚労省に行ってきた。

■がん対策の評価指標 アウトカム評価、患者満足度も
議論前半、がん対策の指標評価の討議はストラクチャー、プロセスだけでなく、アウトカムも評価しなければ・・・という教科書的な説明と、QOL、患者満足度といった場合によっては主観的な指標も研究班で検討していきたい、という話だった。

在宅ホスピスに長年取り組んでいる川越先生からは、助かるがん患者のQOLと、助かる見込みのないがん患者のQOLは、根本は一緒であっても別々に考えなければならないとの意見があった。指標は多くの視点に基づき、納得性、透明性、公平性が求められるだけに、このような意見は分かりやすい注意点であると思う。

ただ、研究班の担当者が繰り返していた「患者の体験を病院にフィードバックしていくことがまず必要である」という趣旨の発言は、心地良い言葉だが、具体的にどういった指標が提示されるのか、さっぱり分からなかった。なお、患者満足度などの主観的な指標を、施設横並びで公表するような乱暴なことはしないと言っていたので、突然、ショッキングなデータが公表されることはなさそうだ。データ・指標の公開は、建設的な議論を生む可能性も秘めているし、現場を混乱させる可能性も秘めている。先日、全がん協が公表したがん5年生存率もそうだが、読み手の能力が問われるような内容には、十分配慮が必要だ。

■相談支援センター、活性化が必須
後半、相談支援センターの議論は、事例紹介も含め、非常に良い話だが、何もがん対策推進協議会の場で、共有することでもなかろうに・・・。患者団体、医療関係者、行政など様々な意見・感想が聞け、貴重であったことは間違い無いが。

■小児がんの拠点整備、全国10ヶ所程度。地区ブロックで1~3ヶ所指定予定
個人的には、議題から外れるが、会の冒頭で小児がんの拠点病院整備、全国で10カ所程度、指定する話が興味深かった。患者団体の委員からの質問で、「拠点病院に集約されてしまうことで、患者の利便性、経済的負担が増す懸念があることについて、公的補助・支援はないのか?」という趣旨の質問だったと思う。厚労省の担当者の回答はキレがイマイチだったが、結局のところ、全国どの施設でも医療の高い質を求めることは、国民にとって最適ではなく、ある程度の集約は必然的な流れであることを認識すべきであり、負担を強いることになる一部の患者・患者家族には、手厚いサポートが必要、ということなのではないだろうか。

小児であれば、ドナルド・マクドナルド・ハウスのような施設・団体が、その支援する方向性を具現化していると思う。この議論はがんに限らず、である。

良い医療を実現する・受けるには、場合によっては負担が求められる。その負担は誰がすべきなのか。色々考えさせられることが多い。