2013/12/30

調剤データの利用がドラッグストアの起爆剤 (書評:月刊激流2014年1月号)

月刊激流1月号の特集でドラッグストアを取り上げていたので、以前買っておいたものの、なかなか読めなかったのだが、年末、移動時間などでようやく読むことができた。

やはり、ドラッグストア、色々おもしろい。

小売業としての側面と、医療施設としての側面で、どっちの世界が美味しいか、消費者のマインド・ニーズを理解しようとしながら揺れ動いている。

これまでは、食品などの日用品を『まき餌』に、一般用医薬品や化粧品で、消費者を釣っていたモデル。マツモトキヨシなどは釣りのレベルではなく、化粧品なども大幅に下げ、底引き網で漁をしていた。でも、一般用医薬品などが、どこでも売れるように規制緩和がなされてしまうと、ドラッグストアは『まき餌』でいくら客を寄せ集めても意味が無くなってしまう。

ローソンなどのコンビニ各社が、調剤薬局併設型店舗を出していることは、以前、弊社のレポートやブログで紹介したが、コンビニは、常に新しい商品がある、24時間開いている、近所にあるといった利便性が『まき餌』であり、価格で勝負していないため、インフラ整備が終わると『まき餌』セット完了であり、追加コストのかからない、もはや疑似餌のようなものだ。こういったコンビニが、収益性の高い一般用医薬品や調剤に進出してくるのは、ドラッグストアにとって、脅威以外の何物でもない。

「コンビニ」+「調剤薬局」の模索 - 医療、福祉に貢献するために

さらに、ネットでの医薬品販売は壮大な『まき餌』装置を作り上げ、太平洋はおろか、世界中の海という海を漁場にしているAmazonのようなライバルが登場することを意味する。ただ、市民目線で言えば、利便性が増すことは悪くないことで、適切な競争は歓迎だ。むしろ、ドラッグストアが乱立し、調剤薬局が何店舗も横並びになっていることが異常と感じなければならないだろう。

月刊激流の特集では、ドラッグストア各社の取り組みなどが書かれている(ちなみに個人的には特集冒頭の論説記事が一番興味深く感じた)。そのひとつで、調剤データの利用がドラッグストアの起爆剤になり得るという、という記事があった。そのとおりだ。調剤データは「顧客プロファイリング」の宝の山であることは間違いない。弊社は今年多くの調剤データを分析する機会を頂戴したが、どのデータも宝になり得ることに確信を持っている。また、この確信はアメリカのドラッグストアを見ながら再確認したことの一つでもある。来年もデータ分析で新たな価値を見出していきたい。


調剤薬局に関するレポートはこちら↓

http://meditur.blogspot.jp/2013/04/meditur-insight-vol2.html