2013/12/24

書評: 夢の病院をつくろう

チャイルド・ケモ・ハウスのできるまで、という副題のとおり、建物が完成したところまでの話が書かれている。本の最後に書かれている『これからここで繰り広げられる取り組みこそが大切であり、さらにはチャイケモのチャレンジをきっかけに、同じような志を持つ人が現れ、「子どもを中心に置いた新しい医療の形」が日本中に願ってやみません。』との一文に、強く共感を覚えた。

きれいなデザインの表紙

この話、以前取り上げたマギーズセンターとの共通点を感じた。医療を中心に据えた形を考えるのではなく、患者とその家族を中心に支えあう生活の場を作るという考え方は、時代が求める効率的な医療などと完全に相反するというわけではなく、医療に関与する人が共通の理解として持っておくべき知識・情報であるように思う。

例えば、高齢者医療は、病院、介護施設、高齢者住宅、在宅といった形は、患者の希望ではなく、提供する側の都合が多少なりともある点は否めない。希望を叶えるには、財政的な問題も大きいだろうし、マンパワーの問題も大きいだろう。ただ、そこで思考を停止させてしまうと、これまでと何も変わらない。その先を考えなければならないのだろう。

このチャイルド・ケモ・ハウスは、思考停止させず、その先を考え、具現化したストーリーの1つだ。