2014/01/30

薬のネット販売は、即、価格競争だ

花粉症の季節が来たようだ。そういえば、昨年はインフルエンザと花粉症の動向調査をしていた。

関東地方が花粉シーズン入り…ウェザーニューズ : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

花粉症のニュースが流れ始めたので、ドラッグストアを回ってみた。今年もアレグラは大人気だ(正確には「大人気にしようとしている」というべきだろうか)。

アレグラは店内でもひときわ目立つ

一般用医薬品はネット販売に関する話題が盛りだくさんだ。法に合致しているか、適切かどうかの議論は専門家にお任せするとして、今日は、販売店側の状況から、消費者の行動を考えてみたい。

アレグラFX、いろいろな店舗で目立つコーナーが設けられていた。値段は28錠で2,000円弱ということころが多かった。28錠、2週間分で2,000円だから、花粉症シーズンをこれだけで乗り切るならば、総額1万円前後だろう。これなら医者にかかるより安い(自己負担は微妙か)。このように市販薬で対処する姿勢(=セルフメディケーション)は、安易に医師に負担をかけない、医療費を抑えるという観点で、悪くない取り組みだろう。
では、この薬、ネット上ではどのように販売されているのだろうか。アレグラFXは第一類医薬品だ。当たり前のことだが、注意事項もたくさんある。服用前後の飲酒がダメとか、持病や服薬には注意が必要とか。薬のネット販売の大手になるであろうamazon.co.jpは2014年1月30日現在、第一類は取り扱っていないため、アレグラFXは販売していない。一方、楽天をのぞいてみると、非常に多くの店舗で販売していた。

楽天市場でのアレグラFX検索結果の一部


値段は1,485円から1,995円まで(送料は別のところも込のところもあり)、幅広い。こうやって上のように並べてしまうと、もはや店舗の薬剤師配置や問い合わせ応対など、質的なものを推測・評価できる要素は表面上まったく分からない。これでは、単純な価格競争になってしまうだろう。実際、ドラッグストアの実店舗で1,980円だったものが、1,600円未満(送料込み)で変えてしまう。300円~400円の差、1シーズンでは1,500円~2,000円の差となってしまうだろう。

定期的・計画的に買う薬は、ネットで十分、と思う人が多くなりそうだ。家電製品などでは、kakaku.comなどの価格情報比較サイトが生まれた功罪とも言われているが、

家電製品購入の新しい流れ
1. まず実店舗で製品チェック(実物を見たい、操作性を確認したい)&値段チェック
2. 価格比較サイトで値段を確認
3. 一番安いところで購入

家電量販店の台頭により、いわゆる『まちの電器屋』の機能・役割が薄れてきている現在、アフターサービス的なものを期待していないのであれば、一番安いところで買うのも至極当然の話だ。

これを医薬品にあてはめて考えてみると、間違いなく、価格競争になってしまうだろう。

医薬品購入の新しい流れ
1. まず実店舗で薬剤師に相談&値段チェック
2. 価格比較サイトで値段を確認
3. 一番安いところで購入


ドラッグストアは、一番手間のかかる相談業務だけを行うことになりそうだ。話を聞くだけ聞いて、客は家に帰って、ネットで注文だ。実店舗を持っているところは価格を下げたいものの在庫もあるし、レジ店員なども雇っている。厳しい戦いを強いられそうだ。


余談だが、花粉症については下記ガイドラインを参考にまとめた資料をどうぞ。