2014/04/09

お薬手帳、意義が浸透しない中での点数上下は、混乱とムダを生む(前編)

お薬手帳。
今回の診療報酬改定、大きなポイントの1つとなった項目だ。

これまで、お薬手帳を忘れた場合でも、シールでもいいから渡せば点数を算定できるルールだったため、今回の改定では、お薬手帳を忘れた場合、その目的の点数が算定できなくなった(つまり安くなる)。

その結果を受けた新聞記事がこれ。

つなごう医療 中日メディカルサイト | 「お薬手帳」利用減る? 診療報酬改定 持参しない方が安く

「お薬手帳は持参しない方がお得ですよ!」とも受け取られかねない内容。もちろん、記事の中身をしっかり読めばそんなことはないのだが、早かれ遅かれ、どこかのテレビ番組が紹介するだろう。

逆に、医療者が読むサイトではこれ。

手帳交付すれば服用歴管理指導料の減算免除 | 医療経営CBnewsマネジメント

「手帳を忘れた人に対し、減算(=安くなる)を防ぐには、手帳を交付すればよい」という話。忘れたって、またちゃんとした手帳(シールじゃダメ)を渡してしまえばいいんだ、と書いている。

そもそもの手帳の意義を考えると、「安くなる」も「渡してしまえ」もどちらも、???、なのだが、それぞれの立場上の都合だろう。食費などの生活費を切り詰めている患者からしたら、10円、20円だって無視できない差だし、調剤薬局とて非営利事業ではないのだから、定められた範囲内で最大限利益を上げようとする。各々の心情は痛いほど理解できる。

しかし、このような改定の度に生じる不毛なやりとりは、現場での混乱と医療費のムダを生むに違いない。点数の上下でコントロールしようとすることにも疑問を感じる。そこで、次回、どういう制度にすべきか、簡単に考えてみたい。

後編はこちら
⇒ お薬手帳、意義が浸透しない中での点数上下は、混乱とムダを生む(後編)