2014/11/22

医療の機能分化を阻む大きな敵

先日、ある公立病院で掲示されていた「患者からのご意見」を眺めていたところ、まだまだ機能分化の実現は難しいと感じることがあった。

掲載されていた意見は、以下の様なものだった。
「原則紹介制に変わります」とのことですが、それでは市民が簡単に受診できなくなります。市税を使っている病院と言えるのでしょうか。市民のための病院ではありません。『市立病院』の名前をかえるべきです。
「かかりつけ医」「近所の病院」に行って下さいと先生・看護師に言われ、傷つきました。もう来ないで下さいと言われたように感じ、悲しく暗い気持ちになりました。
先生から、クリニックへ行くように言われました。たくさんのクリニックでダメで困ったからこちらに来たのに。たらい回しはやめてください。
どれも患者目線では納得感のある内容だ。また、どこの病院でも多かれ少なかれ、このような批判は受けていることだろう。

昨今、医療機関は機能分化、役割分担を推し進めており、大病院は外来の受け入れを抑制し、入院に必要な患者を中心に診るようにしている。軽症・軽度の患者は、まず地域のかかりつけ医を受診し、そこで必要であれば病院へ紹介してもらうのが一般的な流れだ。

また、病院を退院後、状態が落ち着いたら、地域のクリニックで経過を診るようになっている。いつまでも大病院を受診し続けるのは、医療資源の効率的な活用とは言えない。


医療資源の効率的な活用を考える上で、機能分化は重要な課題だ。ただ、なかなか機能分化が進んでいないのが現状である。行政はなかなか機能分化を推し進めない医療機関に対し、診療報酬等で制約を加えようとしているが、一番の問題は、上記のような意見を素で言ってしまう患者の意識なのではないだろうか。

かかりつけ医の重要性などを説く市民講座などは各地で開催されている。それでもなかなか理解が進まない。どうしたら良いか今後も考えていきたい。