2014/12/10

医療の競争環境は、適切な医療費につながるのか

自由経済・自由市場の環境下において、競争的な環境ではコストが下がり、一方で寡占的環境ではコストが上がる。これは医療にも通じる考え方なのだろうか。

日本の医療は、自由経済ではない。価格は診療報酬で定められ、病床は規制されている。そのような環境であっても、競争的な環境は医療費の適切化に貢献しているか考えてみたい。

全国の300以上の二次医療圏について、DPCデータの施設別症例数をベースにハーフィンダール指数を算出した。また、医療費の地域差分析(医療費の地域差分析 |厚生労働省)から、二次医療圏の入院医療費の高低を得た。これらの2つの数値の関係を下の図にまとめた。この際、ハーフィンダール指数をわかりやすくするため、300以上の二次医療圏を5つの群とDPCデータのない群、計6群に分類した。競争的環境とは、ハーフィンダール指数が低く、すなわち、二次医療圏内にDPC病院が多くあることを意味している。下の図において、色が薄い部分は医療費が相対的に低く、色が濃い部分は医療費が相対的に高いことを意味している。

二次医療圏ごとの急性期医療の施設集中度と地域差指数の関係
出所:厚生労働省資料(2014年公表)を基に弊社が分析・作成

この結果から、競争的環境ほど医療費が低く、寡占的環境ほど医療費が高くなる傾向が見られた。しかし、価格弾力性がない・病床数の制約があるなどの計画経済のもとで行われている医療は、人口の少ない地域では、意図的に競争的環境を作ることはできない。

つまり、競争的な環境を「患者確保」で生み出すことは望ましくないと考えている。そこで大事になるのは、医療の質を高めるような競争を生み出すことである。医療施設の集約化(寡占化)は、限られた医療資源を有効活用するためにも不可欠だろう。その集約化の取り組みを推進しつつも、医療の質で競争させることで、低コスト・高価値の医療を実現できるよう国全体をマネジメントすることが理想だ。

計画経済でやっている以上、患者確保で競争するのはベストとは言えない。そして、医療の質で競うことは、患者にとっても大きなメリットがあるだろう。