2015/03/12

2018年問題が直撃した久喜市の記事から考える2025年問題

今朝の日経。大学の2018年問題をクローズアップしていた。

大学の閉校や移転、地方悩ます 誘致・支援したのに都心回帰、ビジョンの共有不可欠 :日本経済新聞

2018年問題とは、18歳人口が減少し始め、大学進学率が増えなければ大学入学者が減るため、大学の経営が厳しくなることだ。影響は大学にとどまらず、予備校や大学周辺でのアパート経営なども死活問題となる。(日経の記事でも、左下に用語説明が書かれている)

20XX年問題と呼ばれるものには、コンピューターの世界の2000年問題(2000年問題 - Wikipedia)、製薬業界での医薬品特許切れの2010年問題、団塊の世代が医療・介護需要を急増させる2025年問題などがある。(先日の日経には団塊ジュニア世代の勤労意欲に関する2020年問題の記事もあった。正直、20XX年問題と言った者勝ちの感が否めない)

これらの問題に共通しているのは、問題は突如起きるのではなく、あらかじめ問題になるであろうことは予見されていることだ。

2018年問題であれば、出生数は18年前から分かっていたわけで、その間、何も対応してこなかったところは、その影響が直撃するという話だ。日経の記事にある久喜市の大学の話は、実家の近所であり、実家から最も近い大学キャンパスだ。大学ができた頃、なぜ理科大が経営学部を?、なぜ久喜市が?と疑問だらけだったのだが、当時は別の町(久喜市と合併した町)に住んでいたため他人事だった。

記事によれば、市は40億円近いお金を助成したとのこと。市は大学を誘致したことで「成功」と見なされたに違いない。そして1993年にはこの問題は予見できなかったかもしれない。それは仕方のないことだが、2000年前後ではある程度予見できたはずである。このタイミングで対応をしていれば、今日のような記事にはならずに済んだであろう。残念だが、市が積極的な対応をしていた話は聞こえてこない。

■2025年問題の自治体病院・公的病院も同じこと

医療・介護需要が膨らむ2025年問題も同じである。需要が増える反面、そのあと急激な低下が待ち受けている。また、地域によっては、すでに高齢化のピークが過ぎてしまったところもある。かつて、「おらが町にも病院を」と自治体病院を作ったところは、住民にとって、非常にありがたく思われていたに違いない。しかし、医療政策の転換点を迎えている現在、過剰な自治体病院は、間違いなく、地域住民の重い財政負担となっていくだろう。道路事情の改善や医療の進展により、状況は変わっている。

2025年の問題は間違いなくやってくる。自治体病院にとって、「何もしないこと」は一番悪い。将来、日経の記事にある久喜市になってしまうに違いない。