2015/06/10

三次救急の現状 ~一年前の記事を読み直して~

一年ほど前、こんな記事を書いていた。

『三次救急の病院へ運んでもらえませんか?』『ドクターヘリは使えませんか?』と聞くべきなのか? - 医療、福祉に貢献するために

読売新聞の記事に対して、ちょっとそれはないのでは?と述べた。

おかげさまで、定期的に会う三次救急の病院も増え、現状4病院くらいから話を聞くことができる。そのような状況から考えると、やはり、この記事は「分かってない」であると思った。

三次救急は、非常に重篤な患者を受け入れるための貴重な医療資源・体制であり、それを決して無駄に使ってはいけない。とある病院で聞いたのは、一般人からしたら非情とも思えてしまう状況であった。

いわゆる大事故。大怪我。救急隊員も「これは!」と思って、三次救急の病院に受け入れ要請の問い合わせ。しかし、三次救急の病院は、自分の施設の状況を見た結果、「命にかかわるか、かかわらないか? かかわらないなら、別へ」との答えだった。それを受け、救急隊員は別の病院へ患者を運んだ。

もうひとつの事例も、同じく大事故の話。これは明らかに厳しい患者。三次救急でも救えるかどうか分からない患者。三次救急の病院に問い合わせたところ、たまたま別の患者の対応で、受け入れできないとの返答。救急隊員の判断は、そこから数十キロ離れた施設への搬送だった。結果的に、残念ながら患者は一命と落とした。


三次救急とはここまでシビアに運営されているということを一般人も知るべきだろう。そのような限られた医療資源を無駄に使うような、気軽な「運んでもらえませんか?」といった個人のエゴが通じるべきではない。その気軽な一言が、本来ならば救えた命を奪うことになりかねない。

読売新聞の記事は、そういった趣旨ではなかったのかもしれないが、今読みなおしても、正直、理解できない。貴重な医療資源を有効に使う事こそが、良い医療を受けるための秘訣ではなかろうか。