2015/06/17

市場は寡占化が進んでいるか否か

近年、たばこは様々な銘柄が出ているらしい。そこで各銘柄の販売本数の推移から、たばこは一部銘柄でシェアが寡占的になっているか、そうでないか確認してみたい。

まず、上位10銘柄の本数推移のグラフを見てみよう。

たばこ販売数量上位10銘柄の販売本数推移 出所:一般社団法人 日本たばこ協会 統計資料を基に弊社で作成
緑色が濃いほど、各年度で販売数量が多い銘柄となっている。1990年度には上位10銘柄で約2000億本に達していたのに、2014には500億本弱と4分の1の水準まで減っている。

しかし、このグラフだけでは、上位銘柄が市場を寡占しているか否か判別が付かない。そこで、各年度の全販売数量を分母にし、上位10銘柄の販売数量合計を分子にしたシェアの推移を見てみた。
たばこ販売数量上位10銘柄シェア推移 出所:一般社団法人 日本たばこ協会 統計資料を基に弊社で作成
その結果は、1990年度には上位10銘柄で6割以上のシェアがあったのに、2014年度は3割を切ってしまっていることが分かる。非常に多くの銘柄で争っていることが見えてくる。

ちなみに1990年度の1位はマイルドセブンで19.5%のシェアを持っていた。2014年度の1位~7位までのシェアの合計がちょうど19.5%である。2014年度の1位のセブンスターはもはや3.9%のシェアしか持っていない。いかに銘柄が細分化し、ひとつひとつのシェアが少なくなっているか分かるだろう。

これは医療機関のシェアや、薬局のシェアを考えるときも同じである。単純な数量の推移に加え、シェアを見ることが重要だ。たばこのようにこの25年で販売本数が大きく減っているような場合には特に注意が必要だろう。

しかし、ここまで1銘柄1銘柄のシェアが減り、多くの銘柄が販売されている現状では、コンビニのバイトがたばこを棚から取るのに苦労するのも分かる気がする。

余談だが、日本のたばこ販売は、JT、フィリップ・モリス、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの3社でほぼ全てのシェアを握っている。この3社が正会員になっているのが、今回資料の元データを公開している一般社団法人 日本たばこ協会である。


日本たばこ協会は未成年の喫煙防止などの取り組みを積極的にやっている。健康増進の観点では、それに加え、成人の禁煙サポートもして欲しいところだが、販売会社自らがなかなかそういう取り組みに本腰を入れる訳にはいかないだろう。