2015/10/22

ステレオタイプ的思考が良い薬局をつぶし悪い薬局を残すことになるかもしれない

一般的に、調剤薬局の課題を下のように捉えていることが多い。実際、自分もそうだ。

門前薬局
・複数の医療機関から処方せんを持ってくる患者が少ない
・過剰・重複投薬のチェックができていない

かかりつけ薬局
・複数の医療機関から処方せんを持ってくる患者が多い
・過剰・重複投薬のチェックができている

今朝の日経の記事も、このような考え方に基づき、診療報酬改定が進むだろうと述べている。

診療報酬の16年度改定へ議論開始 社会保障費1700億円抑制へ  :日本経済新聞

果たして、このようなステレオタイプな考え方は適切だろうか。最近データ分析をしていて感じることだが、かかりつけ薬局でも、ひどいところはひどい。複数の医療機関から処方せんを持ち込んでいるのに、重複投与のチェックがまったくなされていない。逆に、門前でもしっかりチェックしようとしているところもある。新聞記事にあるような『門前薬局は「処方せんを口を開けて待っているだけ」(厚労省幹部)』と決めつけるのは問題だ。

塩崎大臣の「病院前の景色を変える」は、誤解を招きやすい発言だったと思う。しかし、「質の高い医療を提供するところには報酬を。そうでないところは撤退を」というのが真意であったと理解しており、基本的には賛成だ。

塩崎大臣閣議後記者会見概要 |大臣記者会見|厚生労働省

ただ、ステレオタイプ的な考え方で報酬を上げ下げすれば、患者が損をするに違いない。「過剰・重複投与がチェックできていないこと」に対しペナルティを、「適正にチェックできていること」に対しインセンティブを与えるべきだ。

弊社のような限られたデータを分析していても、ある程度の質を推測できるくらいだ。ナショナルデータベースを使い、各薬局をチェックし、診療報酬にフィードバックする仕組みが構築できないだろうか。