2015/10/25

小児薬の分析、今後に期待!

この取り組み、非常に良いと思う。

小児薬をビッグデータ解析、副作用など調査 : 科学・IT : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

カルテの情報も一緒に集める点が良い。レセプトの分析では検査結果や症状が読み取れず、分析には限界がある(個人的には、その限界があることを理解したうえで、どんな切り口があるか考えるのが楽しい)。

小児薬の弊社分析例を紹介する(といっても処方薬の情報のみだ)。

小児は12月の金額が特に高くなるという話だ。まず表1は年代別の季節変動を見たもの。緑ほど金額が高く、赤ほど低い。全般的な傾向で言えば、夏は低く、冬が高い。

表1: 処方薬の季節変動(金額ベース)

しかし、この傾向は留意すべき点がある。3月が高い傾向を示すには、花粉症の影響が無視できない。そこでアレルギー関連の薬だけをピックアップした結果を表2に示す。

表2: 処方薬の季節変動(金額ベース)【アレルギー薬】
花粉症治療薬などのアレルギー薬は2月3月に集中している。至極当然の結果だろう。

では、そのアレルギー薬を除いた結果を見てみよう(表3)。

表3: 処方薬の季節変動(金額ベース)【アレルギー薬以外】
すると季節変動はあまりないことが見えてくる(表3は表1ほどではないという意味)。

ただし3月が依然として高いのは花粉症で目薬などをもらう影響が除去しきれていないためであり、また12月が高いのは年末にまとめて数週間分薬をもらうために高くなっているためと考えられる。

そんな中で、10代未満の12月は高さが目立つ。なぜだろうか? 自分の仮説では「寒い時期に保湿クリームか??」と思ったのだが、実際はインフルエンザ関連の薬の影響だった。結果から先に聞けば、当たり前過ぎるつまらないものだが、あれこれ考えながら分析するのは楽しいものだ。

余談だが、表2の情報、エクセルでは下のような3Dの棒グラフも作ることが可能だ。見栄えの良いグラフに「ステキ!」と思ってしまったとしたら危険だ。3Dにすると縦の数値の大小を比較することが困難になる。それだけでなく棒の後ろに隠れてしまった位置の情報は見えなくなってしまう。いずれにしても、こういったグラフは使わない方がよい。
使わない方がよい3Dグラフ(情報は表2と同じ)