2015/11/26

じゃがいもとパンから医療費を考える

Measuring the Value of Prescription Drugs — NEJM

ソバルディのような「劇的に効くけど目が飛び出るほど高価な薬」の値付けの評論記事。あまりにも高すぎる値段について、自動車の値段を引き合いに出して、論じている。

車を買うとき、消費者はディーラーで「原価」を聞かない

確かに聞かない。200万の国産車と似たような300万の外車があった場合、勝手に「100万円は海外からの輸送費とブランド代だな・・・」と思い込む。ましてや200万円のうち、エンジンにいくら、シャーシにいくら、ボディにいくら、内装にいくら・・・なんて考えることもない。

記事でも、普通車を買うときは、他の車も含めスペックや機能と値段とを一緒に比較するのであって、原価は聞かないだろうと述べている。また、安全性や燃費、定員数などの指標も大事だが、もっと価値があるのは、安全性を増すのにどの程度燃費が下がるのか、定員数が増えたらどの程度燃費が下がるのか、だったりするとも述べている。
※ 英語力が乏しいので、誤訳はご容赦願いたい(こっそり指摘ください)


一方で、費用対効果の考え方に基づく値段設定は、より価値ある薬を生み出そうとする製薬メーカー・研究者の大きな動機付けになっていることは間違いない。それだけに評価フレームワークの精緻化などが必要と述べている。

じゃがいもとパン

コメント欄が面白い。「もし、じゃがいもとパンをカロリーなどの価値で評価したなら、じゃがいもはとんでもない値段になってしまい、世界中が飢えてしまうだろう」と皮肉を書いているコメントがあった。

そのコメントで学生時代のことを思い出した。節約節約と意識していた学生時代、値段の安さとカロリーをバランスを考え、費用対効果が良い食事を議論したことがあった。「パスタが1kg300円で売っているよ」「米はドラッグストアが安い」「パンを買うなら××のカロリーがバカ高い」などなど、下らない話題で盛り上がったものだ。(当然だが、油脂と炭水化物(砂糖も含む)は安く、栄養バランスなんぞ完全無視だった)

費用対効果の議論は中医協でもなされている。医療費を抑えるために使われるのか。それとも研究者に対するインセンティブをもっと付けたいのか。どちらにせよ議論は要注目だろう。

ソバルディの値段については下記などを読むと良い
【中医協総会】ソバルディ薬価、1錠6万円-13年ぶりに画期性加算 : 薬事日報ウェブサイト