医療、福祉に貢献するために

医療、福祉に貢献するために
~ 株式会社メディチュア Blog

2016/03/31

疑義解釈はいつ出るの?

聞かれても困る質問のひとつが、表題のもの。こちらが聞きたいくらいである。しかも、病院に勤めているわけでもないので、できることと言えば、ここ(平成28年度診療報酬改定について |厚生労働省)の事務連絡に載るのを待つくらいだ。

明日から4月というのに、これで良いのか?という疑問は、前回の改定でも感じたことだ。医療機関から質問が出ていて「追って、事務連絡等で明確にする」と答えていながら、その事務連絡が3月31日時点で出てこないのでは、明日からの算定がままならない。ましてや、4月1日以降に「3月31日付け」の事務連絡が来るなんてことはもってのほかだが、前回はそんな流れだったように記憶している。

ただ、いつ出てくるかわからないものをじっと待っていても仕方ない。例えば、CBnewsが下記のような記事で、説明会等でのやりとりをまとめてくれている。これは、非常に参考になる。

改定直前、モヤモヤ一挙解消! | 医療経営CBnewsマネジメント

当然ながら、この内容は事務連絡ではないので、絶対ではない。しかし、現時点で絶対的な情報が出ていない以上、こういった情報を参考に明日からの病院運営を考えるしかない。


余談だが、2型糖尿病のCCPマトリックスに関する記事を載せていただいた。

CCPマトリックスの2型糖尿病を検証 | 医療経営CBnewsマネジメント

CCPマトリックス、肺炎や脳梗塞はそれなりに意義があるように感じている。非常に手間が増えているのは間違いないのだが、重症度の概念を盛り込むには、有益な手段であると思う(ただ、個人的には処置2の人工呼吸器等の条件を細分化すれば十分なように感じる)。しかし、糖尿病に関していえば、あまり意味がないように感じたため、少し深堀りしてみた。

診療報酬の点数の多寡だけでみれば、解釈の仕方により、ちょっとした点数差も「大きい」と捉えることもできるし、「気にならない」と捉えることもできるだけに、全員が同じ印象を持つとは限らないが、2型糖尿病に関して言えば、個人的には、大した点数差がないだけに、CCPマトリックスの手間だけ増えたように思う。

DPC制度は、得する患者も損する患者も平均的に分布することを前提とした、包括請求の制度であり、出来高請求の点数を厳密に担保しようと思えば、出来高請求に近づいてしまう。出来高制度は、入院初日に算定できる加算や、入院から○○日目まで算定できる加算等を豊富にすることで、早期退院のインセンティブをつけることがすでに出来ている。それだけに、やりすぎなCCPマトリックスはDPC制度の矛盾を生じさせてしまうように思う・・・ということを言いたく記事にした。


CCPマトリックスに関する記事はさておき、改定直前、モヤモヤ一挙解消!はおススメだ。

2016/03/28

良い医療を受けるには、患者の協力が大事

適切な治療、適切な薬、適切なタイミング。Precision Medicineは患者が良い医療を受けるために理解すべきことだ。

この説明動画では、喘息の例が出てくる。



喘息と一括りにして、同じ治療を受ける時代はそろそろ終わりになる。そのためには患者もデータ収集などに協力しなければならない。

2016/03/27

「医療資源の無駄遣いを阻止し、連携を密にする」、30年前の話

先日の若月先生の本の続き。

前回の分はこちら→
住民と共感を持って「ともに歩む」 書評: 若月俊一著作集 第六巻 私の病院経営 - 医療、福祉に貢献するために

1980年代半ばの院長の年頭方針の章から引用する。例えば、次の文章。まるで、地域医療構想の構想地域の議論をしているかのようだ。
この次の国会に、必ず「医療法改正案」が出る。そして、通るだろうということです。これが通りますと、まず、病院の診療内容の審査と監査が、非常にきびしくなる。次に、医療の地域化が統制的に強行される。この地域化をどのように行うかは、知事の裁定によるというのですが、例えばこのへんでは佐久全体を一つの地域とするのか、上田・小県までを含めて東信地区とするのかわかりません。
そして、地域連携の強化、役割分担の明確化が進む話に続いている。
そんな地域の中で医療機関のシステム化とランキングが決まるわけです。中核病院、サブセンター病院、サテライト病院というように、ランクが決まり、組織化が行われる。いままでのように患者さんがどこの病院へも勝手には行けなくなる。次の病院に行くには、前の病院の紹介がないと行けない。医療資源の無駄使いを阻止し、病院どうしの連絡を密にするというアイディアには問題がないのですが、これが官僚統制や行政支配になっては困るという心配があるのです。
紹介状がなければ病院に行けない、もしくは一定の制限を設ける・・・という議論は、2016年度の診療報酬改定において、大病院に紹介状なしで受診する場合は一定額の徴収を義務付けることが決定している。30年の時を経て、同じ議論をしている。

さらに続く文章では、医療機関の連携・システム化において、公的病院の置かれた状況に対する不安を述べている。地域医療構想における公立・公的病院の不安と非常にリンクするものだ。
これから医療機関の”淘汰の時代”がくるというのに、果してこのようなシステム化がうまくいくかどうか。ことに私どものような農協の病院、「公的病院」とはいっても半分民間病院的なところのある病院にとっては、不安があるのです。医療機関の地域化(リジオナリゼーション)、この方法は、イギリスのナショナル・ヘルス・サービスで、そしてまた三年前からはイタリアでも始めていると言います。資本主義の国でもやっているのですから、わが国でもできないはずはないのですが、現在の段階ではたいへんむずかしいと言うべきでしょう。高価な医療器械の購入や施設投資も地域全体の中で決める。地域医療審議会がそれを決めるというのですが、そんなことが今日の自由経済のわが国の実情で、うまくいくのかどうか。しかし、これに対する「日医」や「病院会」の批判力は弱い。そして、この医療法改正案は必ず新しい国会を通過するといわれているのです。そうすると私どもの病院のあり方はずっと変ってくるかもしれません。
地域医療構想の議論は、ここ数年、突然湧いてきたものではなく、30年前にはすでに課題感が顕在化しており、医療法改正等の議論がされていたことが分かる。ただ、30年前の議論と地域医療構想の議論の比較においてひとつ違いを挙げるならば、現在の地域医療構想はデータに基づく議論がなされている点だろう。現時点の医療提供状況と将来の医療需要予測をデータで示し、その上で議論がなされている。乗り越えるべき「課題」こそ似ているかもしれないが、その手段はより具体的なものになるはずだ。しかしながら、いくつかの都道府県で開示され始めた地域医療構想の素案を見ていると、具体的な内容を書いている県もあれば、そうでない県もあるように感じる。結局のところ、データに基づこうが基づかなかろうが、最後は、その都道府県の「覚悟」のようなものが具体性を左右するのかもしれない。


この若月先生の本、とても30年前の話とは思えない、とても興味深い本だった。

2016/03/24

【ご案内】4/21(木) 医用工学研究所 セミナー@福岡

来月4月21日(木)福岡で開催される株式会社 医用工学研究所様のセミナーで話をさせていただくことになりました。

診療報酬改定を踏まえ、どのような戦略を取るべきか、地域のことを一番知っている病院職員自らが考えられるようになるためのポイントを話そうと考えております。
具体的には、今月日経ヘルスケアのセミナーで話したデータ・シミュレーションの数々を、院内で用意し、議論に活用し、アクションを起こすまでに直面する「つまづいてしまうポイント」をご紹介さしあげる予定です。

このセミナーは、医療マネジメント学会(http://www.18jhm.com/)の前日開催になります。学会初日も朝から興味深いプログラムが組まれております。前日のうちに福岡入りを考えておられましたら、ぜひ、セミナーにご参加下さい。

ご興味がございましたら、株式会社医用工学研究所様のサイト(下記リンクからどうぞ)からお申し込みができます。定員が30名と限られており、また無料ですので、どうぞお早めにお申し込み下さい。

データ基盤構築とアナリスト育成の重要性セミナー@福岡 | 株式会社医用工学研究所 - 医療用データウェアハウスCLISTA! -


2016/03/22

住民と共感を持って「ともに歩む」 書評: 若月俊一著作集 第六巻 私の病院経営

今回読んだ本はこれ→ 私の病院経営 (若月俊一著作集)(クリックするとAmazonのページへ)

今週のキーワードは「共感」になるのかもしれない。先日のクリーブランドクリニックの話(クリーブランドクリニックの話は病院業界に留まらない改革のケースに 書評: サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠)でも鍵となっていた言葉が「共感」だった。今回の若月先生の本でも住民との「共感」という言葉が出てきた。改めて、色々と考えることが多い。

病院経営に関する内容では、不思議と30年前の話が今でも通じる。医療費抑制・財政再建という命題は、永遠に続くテーマなのだろう。この本の冒頭の書き下ろし部分から、文章を引用する。
地域の中で、「地域医療のシステム化」の名のもとに病院のランクづけが行われる。おそらく知事を議長とする地域医療審議会の決定によって、地域を、センターホスピタル(center hospital)、サブホスピタル(sub-center hospital)、さらに、サテライト(satellite)すなわち、衛星病院というように格付けされ、分けられて、官僚的統制が強まるのではないか。
地域医療構想における機能分化の議論との類似性を感じる。さらに続く文を引用する。
私など、率直にいって、こういう場合を懸念して佐久病院を大きくしたという面もあった。そのため、いままで従業員の諸君にたいへん迷惑をかけてきたが、無理して一〇〇〇近いベッド数にしたという面もないではなかった。そうしておけば経営に間違いが少ないだろうし、だいいち各科を全部きちんとそろえ、研修医指定病院の指定をとっておけば、地域の医療のためのプラスにもなろう。そういう今後の統制の先を見透してやったつもりもあったが、率直にいって、苦労も多かったし、危険もあった。
大きくした佐久総合病院が、この本から30年の時を経て、佐久医療センターと佐久総合病院に分割されているが、その大元の課題感は、今でも通じるものだ。総合入院体制加算による報酬や、DPC病院Ⅱ群の評価事項として挙げられている内容を考えれば、「今後の統制の先を見透して」と書いているが、30年先も見透していたと言ってもよいかもしれない。

また、興味深いのは、次の文章。
ところで、政府の政策に対して″反対、反対″と叫ぶのは大事なことである。けれども、今日どうしてもその声が、国会に通らないという現実もある。そういう現実をしっかり見る、冷めた目も必要ではないか。いったい、今日、どうしてこんなに医者や病院の評判が悪いのか。たしかに不真面目な医者もいたし、金儲けばかりしていた病院もあった。それを抑えるためには仕方がないとしても、私たちのような真面目な病院まで、なぜこんなきびしい医療費抑制政策に追いこむのか。今後、この分でいくとつぶれる病院が増えてくるのは確実である。
医療費抑制政策は今も然りだ。潰れる病院が増えるという話も、無くならない。30年前にも危機感は非常に強かったことが分かるのが次の一文。
日本に約九八〇〇の病院があるが、この二割近くがこの数年間につぶれてしまうのではないか、といわれている。例えば、国立病院でさえも、この数年間に、いまの二五〇の四分の一近くを統廃合してしまおうという。経営の悪い病院は「間引」かれてしまうということである。そういう時代にいまや私たちは突入しているわけである。
実際には、病院はさほど潰れず、現在8,500弱程度だ。ただ、地域医療構想や公立病院改革ガイドラインなどを踏まえれば、この先も、こういった危機感は続くことだろう。

言葉遊びに過ぎないが、次の文章において、レーガノミックスをアベノミクス、中曽根さんを安倍さん、「行革。臨調」を「社会保障と税の一体改革」にそれぞれ置き換えると、まるで最近書かれた内容に思えてくる。
どうして、私ども医者や病院が真面目な仕事をしているのに、こんなにいじめられるのかと訴えたくなる。もちろん厚生省が「行革。臨調」の線で総医療費抑制政策を強行していることが主因であろう。「小さい政府」理論にして、あまり国民から税金をとりたてないという建前の政策だという。国債をこれ以上出さないという。そのために要らない国家財政の支出はどんどん切ってしまうという。いわゆる「レーガノミックス」というレーガンの政策であり、それを中曽根さんもやろうというわけである。それが「行革・臨調」の線として私どもの医療面にその政策がくるときには、たいへんひどい圧迫的なものになる。なぜなら、結局、国家財政のゼロ・シーリングといっても、防衛費だけが突出し、医療と福祉がマイナス・シーリングになってしまうからである。しかし、何しろ国民の意見を代表する政治家たちが、多数決でこれを通してしまうのだから困ってしまう。
ここまで例示したものは、今読んでも不思議と通じる内容であり、過去から学ぶことが多いと改めて感じた点の一例だ。(なお、臨調や、それ以降の医療制度改革等の歴史については、二木立先生の「TPPと医療の産業化」の第二章が「流れ」を意識でき、理解しやすい)

一方で、当然ながら時代の流れから大きく変わっている内容もある。病診連携や厚生連のあり方などは今の考え方と異なるように思うが、当時の課題感を理解でき、それはそれで興味深い。

診療報酬改定を前に、色々考えさせられる内容だった。

2016/03/20

池上彰さんのような医師がどこにいるかは分からない 書評: 厚生労働省の罪と功

厚生労働省の文句ばかりを書いている本だったらどうしよう・・・と少し不安だったが、読んでみたら、意外と良かった。

良かった点は2つ。1つ目は、近年の医療政策・診療報酬制度の変わり方に対する現場の率直な印象がストレートに語られていること。2つ目は、「かかりつけ医」に出会うヒント・選ぶポイントが良かったことだ。

今までもかかりつけ医に関しては、何回かブログで書いてきた気がするのだが、かかりつけ医は勝手に決められるものでも、医師の方から「かかりつけ」宣言されるわけでもなく、自らが探し選ぶものだと考えている。この本に書いてある出会うヒントは具体的だ。入院中であれば、地域連携室・相談室に行き、医療ソーシャルワーカーに相談すべき等。相談してもよいの?と不安に思うかもしれないが、迷ったら相談してみて良いと思う。(なお、出会うヒントは全国在宅療養支援診療所連絡会の「在宅医を見つけるには」(下記リンク参照)から引用されている)

在宅医療ネットワーク|全国在宅療養支援診療所連絡会

賢くかかりつけ医を選ぶポイントには4点挙げられているのだが、そのうちのひとつ、「医者に病気のことを詳しく聞くことで、医者の医学的知識を判断できる」と言っている。これは、その医者の医学的知識の正確性を判断するのは、通常、患者にとって不可能なことだ(それができるのなら、医者を始められる)。個人的に大事なのは、難しいことは分からないと思う人には、池上彰さんのような説明ができる医師が良いだろうし、ポジティブな気持ちにさせて欲しいと思う人には、明石家さんまさんのような話し方の医師が良いだろうし、淡々と事実だけが知りたいと思う人には、NHKのアナウンサーのような医師が良いだろう。つまり医学的知識の伝え方の適切な医師を選ぶこと、要は相性が重要だと思っている。もちろん、最新の情報などに答えてくれることも大事だ。この本では次のように述べられている箇所がある。
医者はその使命から一生勉学に追われることは当然の宿命と思われます 本書P.92から引用
なのでどの医者でも大丈夫・・・と言いたいところだが、現実、そうでないから、かかりつけ医を選ぶのが難しいのだろう。そこで、この本では、最新の知識があるか否かは、説明を受けた治療法以外の治療や他の病院での治療について聞くことを勧めている。こうすることで、医者の見識が最新かどうか判断しやすくなり、また、ネットワークがあるかどうかも分かると述べている。

良い医療を受けたいと思うのならば、少しは医療・介護制度を理解し、自ら積極的に行動する必要があるだろう。ちなみに、池上彰さんのような医師がどこにいるのかは自分も知らない(ひとりいるのだが、片道4時間以上かかるところにいるので、かかりつけになれない)。

2016/03/19

新しい「複雑性係数」の提案

昨日、機能評価係数が告示された。機能評価係数Ⅱについては、これまで以上に、良し悪しの判断が付けづらい指標になってしまったということをfacebookに書いた。

DPC病院群、機能評価係数Ⅱ等が告示されましたね。機能評価係数Ⅱは、これまで、大規模病院のバイアス(カバー率と地域医療係数の定量評価部分)、および、二次医療圏・三次医療圏サイズのバイアス(地域医療係数の定量評価部分)の2つのバイアスを考慮す...
株式会社メディチュア(Meditur Co., Ltd.)さんの投稿 2016年3月17日

機能評価係数Ⅱはインセンティブとして機能していると考えると、努力余地のない指標はそもそも無駄ではないだろうか。

カバー率や地域医療係数の定量評価部分について、facebookの中でコメントしたが、それ以外にも、例えば、複雑性は疾患構成で決まってしまう。複雑性係数であれば、「より複雑なものを入院でなく、外来で実施したことを評価する指標※」にしてみてはどうだろうか。

努力を促すための指標なはずが、その複雑さは年々増している。DPCの包括場合制度を作った理由のひとつに、複雑な診療報酬請求をシンプルにすることがあったはずなのに、出来高時代よりも複雑な制度になっているのでは?と先日MMオフィスの工藤さんがおっしゃっていたが、自分も同感だ。

制度・コーディングの複雑さが増した上に、結局、「出来高と比較して包括収入が少ない場合は損失補てんを・・・」と言い出し、重症度係数を創りだしてしまうのであれば、いっそ出来高でいいのでは?とすら思ってしまう(もちろん、包括払いの理念を理解し、効率的な医療提供を追求している病院が少なくないので、包括払い制度を止めてはいけない)。何だかなぁ・・・。


※新しい複雑性係数とは: 外来EFファイルと入院EFファイル(入院料を除く)で全国平均の医療行為を抽出し、相対的に外来の診療密度が高い医療施設を評価する指標。外来移行をすれば、係数が上がる。疾患・治療内容を考慮した相対評価。例えば、化学療法で、レジメンによってはどの病院も入院で診療しているものは、外来移行していなくても評価は下がらない。一方、ほとんどの病院が外来移行している治療内容を入院で実施している場合、評価が下がる。地域性・高齢者などの配慮が必要と思われるため、補正等はあってよいかも

2016/03/17

CBnews managementの工藤さんの連載、連名にしていただきました

CBnewsの有料コンテンツCBnews managementにおけるMMオフィス工藤さんの連載「2025年に向けた病院経営のツボ」にて、先月から連名にさせてもらっている。

医療介護CBnews

これまでも分析などお手伝いさせていただいていたのだが、改めて身が引き締まる思いだ。
CBnews management にて、MMオフィスの工藤さんと共同執筆しております。今回は7対1・10対1の病棟群単位の届出制度について、シミュレーションをしてみました。当然ですが「シミュレーション」をいくら繰り返しても改善・改革はで...
株式会社メディチュア(Meditur Co., Ltd.)さんの投稿 2016年3月16日

クリーブランドクリニックの話は病院業界に留まらない改革のケースに 書評: サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

病院は典型的なサイロ型組織だ。サイロ・エフェクトでも述べられていることだが、ギルドのような形態により、その専門性を伸ばしていくには適した組織とも言える。一方で、情報の分断による質の低下や非効率的な業務発生も否定できない。特にチーム医療の重要性が増している今日では、サイロ型組織のマイナス面が強くなっているのかもしれない。

サイロ・エフェクトでは、クリーブランドクリニックの事例が出てくる。
第七章 病院の専門を廃止する
病院は細かな専門に分かれている。外科、内科、心臓外科、心臓専門科、リウマチ科、精神科、しかしこうした専門を患者の側から捉え直したらどうだろう。クリーブランドクリニックは外科と内科を廃止、各専門をクロスオーバーさせることによって革新を生んだ 出所: 『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』ジリアン・テット 土方奈美訳 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS

サイロ・エフェクトを読みながら、「ん??、これ読んだことがあるかも・・・」と思って、手元の資料を調べてみたら、やっぱりあった。

The Cleveland Clinic: Growth Strategy 2008 (TN) - Teaching Note - Harvard Business School

ハーバード・ビジネス・スクールのケースを2011年9月に読んでいたようだ。サイロ・エフェクトでは、サイロ型組織のみにフォーカスしているが、HBSのケーススタディでは、それ以外の情報システムや、経営戦略などについても書かれている。

また、1月にアップデートされた最新版(Cleveland Clinic: Transformation and Growth 2015 - Case - Harvard Business School)では、Explorys(Explorys - Healthcare Big Data Analytics - Welcome to Explorys)にも少し触れている。

そのため、クリーブランドクリニックのことを知りたければ、ケーススタディを読んだ方が役に立つだろう。

しかし、サイロ・エフェクトは、サイロ型組織により、他業界も含め、どのような問題が生じたか、どのように解決したか参考になる。個人的にはリーマン・ショックの内容も面白かった。

サイロ・エフェクトの著者、ジリアン・テットのクリーブランドクリニックの改革事例の紹介
How Cleveland Clinic Revolutionized Modern Medicine

3年前にサイロ型組織について書いた記事
病院はサイロ型? たこつぼ型? - 医療、福祉に貢献するために

2016/03/15

病院『改革??』ランキング  書評: 週刊ダイヤモンド

月曜朝、社内で週刊ダイヤモンドを回し読みした。

ランキングは大病院ほど有利な指標になっているので、そのバイアスを理解しながら、比較する必要がある。もちろん、大病院が良い側面もあるので、全否定ではない。

これまでもランキングについては色々書いてきたので、下記を読んでもらいたい。特に、「今回の週刊ダイヤモンドで近所の病院がランキングに載っていないのだけど??」といった疑問を感じた人に下の記事がおススメだ。

一応、今回のダイヤモンドが「改革」と謳っているのは、機能評価係数Ⅱや在院日数の指標・患者構成の指標を取り入れているからなのだろう。しかし、なぜ同じ意味合いの指標を重複させたのか不明だ。機能評価係数Ⅱには効率性と複雑性があるのに・・・。しかも、一般市民にしてみれば、理解するのが難しい指標たちであり、市民感覚の「良い病院」と直結するかは微妙だ。

細かいことはさておき、ランキングが公表されると、その基準はともかく、気になってしまう。心理的なツボを押してくるのは事実だ。だからと言って、このようなランキングに過度に振り回されてはいけない。

2016/03/14

【初心者向け企画】分析の初歩を学ぼう 第6回 ヒストグラムを簡単に作る方法

久しぶりに分析の勉強企画。これまでの内容を振り返ると、ヒストグラムや散布図を作ることで、データの背景にある病院や医療の内容を理解することができることなどを紹介してきた。

これまでの内容
【初心者向け企画】分析の初歩を学ぼう
【初心者向け企画】分析の初歩を学ぼう 第1回 ヒストグラム
【初心者向け企画】分析の初歩を学ぼう 第2回 実践的なヒストグラム作成
【初心者向け企画】分析の初歩を学ぼう 第3回 多峰性のヒストグラム(実践的なヒストグラム作成の続き)
【初心者向け企画】分析の初歩を学ぼう 第4回 散布図
【初心者向け企画】分析の初歩を学ぼう 第5回 多峰性のヒストグラム

ヒストグラムを作る手順は、これまでの内容を踏まえた方がよいのだが、如何せん面倒だ。しかも、学術的に非の打ち所がない完璧なヒストグラムを作ることが目的ではなく、あくまでも、病院経営に必要な情報を整理し、意思決定を促すことである。そこで、今回は、階級の定義などは単純化することで、容易にヒストグラムを作ることができ、かつ試行錯誤しやすくなる方法を紹介したい。

■ピボットテーブルを作る

DPC公開データの『(3)在院日数の状況』を用いて、データ提出病院の在院日数に関するヒストグラムを作ってみたい。

基となるデータは下記のような内容だ。

DPC公開データ(2015年公開 2014年度実績) 在院日数の状況の一部

まず、この右端にある在院日数に対し、小数点以下を切り捨てる関数『rounddown』を使い、ヒストグラム用の在院日数の列を作る。


rounddown関数については、マイクロソフトのサイト(ROUNDDOWN 関数 - Office のサポート)や、本など様々なところで説明があるので、特に困ることはないはずだ。

そして、すべての範囲を指定して、ピボットテーブルを作れば良い。ピボットテーブルの行には『平均値(ヒストグラム用)』、値には『施設名』でも入れておけばよいだろう。ここまでで下のような表ができるはずだ。






■ヒストグラムを作る

ここでピボットテーブルの中にカーソルを置き、エクセルのメニューから「挿入」→「縦棒グラフ」を選ぶだけで、下のようにヒストグラムっぽいものが表示される。


これだけでもよいのだが、最低限の整形をしてみる。

まず、在院日数が空白の病院があるので、フィルタで、在院日数が空白の病院を選択から外す。そして20日以上の病院がまばらすぎるので、グルーピングしてみた。さらに棒グラフの間隔を詰め、色を見やすくした結果が下のグラフだ。


どうだろうか。このヒストグラムを作るまでにかかった時間は、ほんの数分だ。しかも威力を発揮するのはここからだ。

■DPC病院群ごとの特性を見る

このヒストグラムはピボットテーブルが基になっている。そこで、ピボットテーブルの列に『DPC病院群(告示番号から数式で生成)』のデータを入れてみた。


DPC病院Ⅰ群(大学病院本院)はやや在院日数が長め、Ⅱ群は短め、Ⅲ群は5日から20日以上まで開きがあり、12日、13日が多くなっている、などの情報が一瞬で得られた。

■疾患特性が在院日数に与える影響を見る

次にDPC公開データ『(12)施設別MDC比率』を組み合わせた例を見てみよう。単純に、先ほどのピボットテーブルの元データのとなりに、施設別MDC比率を加え、分析範囲に再設定しただけだ。

例えばMDC16外傷が与える影響を見てみよう。平均在院日数のときにrounddownを使ったのと同様、MDC16の比率にも関数を使い区分を設定する。10%以上はひとつにまとめた結果が下のグラフだ。


MDC16の比率が低い病院はピークが12日に。中くらいの比率の病院のピークは12・13日前後、比率が高い病院は14日がピークになっている。何となく影響が見えてきた気がする。

これをMDC13血液疾患で作ったり、MDC08皮膚科系疾患で作ったり、切り替えることは一瞬だ。冗談抜きで、一瞬である。

わざわざデータを用意し、ヒストグラムを都度都度作る必要などない。ピボットテーブルの項目を切り替えるだけで、勝手にヒストグラムが出来上がっていく。

分析の利用用途がはっきりしているのであれば、こういった効率を重視した手法を活用してもよいだろう。今回紹介した手法は、そのままでは飛び飛びの値の場合に特定の階層表記が抜け落ちてしまう不都合な点もある。それゆえにあくまでも参考と思ってもらった方がよいかもしれない。ただ、思考と検証をストレスなく繰り返すには、データの整備に加え、このようなちょっとしたテクニックも大事だと感じている。

2016/03/10

レポートを充実させることも大事だが、多くの人にアピールする手段の充実も大事

昨日発表されたアメリカのCDCのがんに関する報告書によると、がんの死亡率は下がっているけど、肝臓がんは増えているらしい。

CDC - Annual Report to the Nation on the Status of Cancer Infographic

肝がんの原因など詳細はレポートを読むと分かるのだが、読まずとも、大まかな内容であれば、この一枚の絵で分かる。

「レポートが読まれ、正しい理解が進むこと」がベストで、「レポートが読まれないために理解が進まないこと」がワーストであるならば、「インフォグラフィックを見て概要を理解してくれること」はベターなことだろう。

なかなかレポート全文を読むのは大変だ。インフォグラフィックのような手段は非常に有効だろう。

2016/03/06

セミナー、勉強になりました

昨日、日経ヘルスケア主催のセミナーで、話をさせてもらった。今までにない形式で進めたこともあり、恥ずかしながら、とても緊張した。時間通り収まるのか? 内容が期待はずれで会場から罵声が飛んで来るのではないか?等々、不安だらけだった。

当日、時間については、100分の長丁場の各パートともに、ほぼほぼぴったりの時間で収まったように思う。内容については分からない。一応、罵声こそ無かったが、失望した方が無言で帰ったのかもしれない。

自分としては、改善できるポイントもあっただけに、また同じような機会があれば、努力したい。

・・・というような自己反省はともかく、昨日のセミナー、大変勉強になった。自分が仮想医療圏・仮想病院のシミュレーションデータを示しながら、経営判断を考え、それに対し、工藤さんから意見をもらう流れだったのだが、最初のケースから「これは2病院を統合させた方がいい」と言うような強烈なパンチをもらった。

強烈なパンチを受ける準備が不足していたものの、おそらくセミナー参加者の皆様には、経営判断の面白さを感じて頂けたのではないかと思っている。

「理想論は2病院統合。でも現実論は~~。で、実際の判断をするには、○○の情報が足りない」というような反応がものすごいスピードで返ってくる。

少しだけ裏話をしておくと、工藤さんにセミナーで使う全てのシミュレーションデータ・資料を送ったのは当日の朝。もちろん、あらすじや論点のようなものは事前に伝えていたが、実際は、ほぼほぼぶつけ本番のような形だった。ただし、単にさぼっていてぶつけ本番になってしまったのではなく、ある程度、ライブ感を大事にしたい「意図」でもあった。工藤さんのすごさは、経営課題に対する判断の自信とスピードであり、それが「長年の病院経営(診療報酬)の多角的で深い理解と経験」と「緻密なデータ」に基づいているということを参加者に知ってもらいたかった。

このすごさを引き出すために、面白いケースを考えたつもりだったのだが、パーフェクトな内容とは言えなかった。ただ、工藤さんがうまくフォローしてくださり、セミナー自体は満足いただけたのでは・・・と信じたい。

このような企画を考えてくださった工藤さんに感謝するとともに、どこの馬の骨かもわからない自分をセミナーに使ってくださった日経ヘルスケア・日経BPさんに本当に感謝、感謝、感謝。

2016/03/03

滋賀県が意外

国勢調査の結果(統計局ホームページ/平成27年国勢調査/調査の結果)を使って、平成22年度と平成27年度の都道県別人口増減率を可視化。

(都道府県にカーソルをあわせると、各都道府県の増減率が表示されます)

2016/3/3 追記
滋賀県の事情、下記に詳しく書いてあった。
国勢調査で唯一「人口増」滋賀県の事情は・・・|MBS 関西のニュース

記事は次のような一文で締めくくられていた。
そんな滋賀県も実は2013年12月をピークに人口が減っていて、日本全体がいよいよ、人口減少社会への対応をせまられています。

2010年と2015年の国勢調査の比較では人口が増えていた滋賀県だが、2013年12月がピークで、減少に転じているとのこと。おそらく、国勢調査の5年間のタイミングが、あと1年、2年うしろにずれていれば、滋賀県もマイナスになっていたのだろう。記事には、(あくまでもうわさ・伝聞の域を出ない内容とは言え)興味深い理由が書かれていたので、読む価値はあるだろう。

2016/03/02

いやいや学ぶより、楽しく学びたい

昨日の日経夕刊を見て、社内では今朝からゲームを。

心止村湯けむり事件簿 | AEDサスペンスドラマゲーム

これはヤバい。気合いが入りすぎだ。AEDの講習を受講したスタッフが自信たっぷりに進めていくものの、残念ながら、全問正解ならず。

- ゲームの感想は?

スタッフ: 「悔しい! もう一度ゲームをやりなおしたい!!」


と、そこまで言わせたゲーム。作り込みが半端じゃない。ちなみに音を出して遊ばないとダメなので、場所と時間はわきまえて。

2016/3/6 追記
AED講習を受講したスタッフから「AEDのクイズは全問正解だった。AEDとは関係ないスペシャルクイズは正解できなかっただけ。ブログの書かれ方では自分がアホみたいだ」と言われてしまった。申し訳ない。

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