2016/04/19

調剤医療費の伸びは、今後、ますます課題になるだろう

調剤医療費の急激な伸びは、日本だけでなくアメリカも課題のようだ。画期的なC型肝炎治療薬や抗がん剤の登場による影響が大きく、ニュースなどで話題になることも多い。

下の図はKaiser Family Foundationが作成した調剤医療費のトレンドを示したものだ。

http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2510894
解説等はJAMAやKaiser Family Foundationのサイトで読むことができる。

JAMA Network | JAMA | Recent Trends in Prescription Drug Costs

Visualizing Health Policy: Recent Trends in Prescription Drug Costs | The Henry J. Kaiser Family Foundation

図の左下で紹介されているヒュミラとコパキソンの薬剤費(1ヶ月分)について、スイスとアメリカで比較したものが興味深い。コパキソンはスイスが1,357ドル(1ドル=108円で約15万円)、アメリカが3,903ドル(同42万円)らしい。日本は1日5,501円(2016年4月時点)、1ヶ月で約16万5千円なので、スイスとほぼ同じ水準だ。

中医協の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000104464.pdf)を見たところ、やはりアメリカが突出している。
20mg1mL1筒
米国 244.42ドル 28,597円※
英国 18.36ポンド 3,341円
独国 55.62ユーロ 7,620円
仏国 29.72ユーロ 4,071円
外国平均価格 5,011円
(注1)為替レートは平成26年10月~平成27年9月の平均
(注2)外国の価格に大きな開きがあるので、調整した外国平均価格を用いている(※は最低価格の3倍を上回るため対象から除いた。)
モノの値段の付け方は難しいが、あまりにも高い薬が増えれば、健康保険制度自体が崩壊しかねない。だからといって、保険対象外になってしまえば、お金のあるなしで受けられる医療に差が生じてしまう。また、薬を開発しているメーカーにとってみれば、慈善事業をしているわけではないので、儲けられない薬は開発しなくなる。なかなか難しい問題だ。

調剤医療費の伸びを考えると、ジェネリックを使う等の努力が不可欠で、その結果、医療費増加が抑制できれば、新薬も保険で使え、結果的に、健康保険制度における質が上がる。

つまり、ジェネリックの利用促進は、医療の質の向上に貢献できる、と言えるのかもしれない。

調剤医療費の伸びを可視化してみる - 医療、福祉に貢献するために