医療、福祉に貢献するために

医療、福祉に貢献するために
~ 株式会社メディチュア Blog

2017/09/22

需要減少時代における新入院患者確保戦略展開の留意点

CBnewsに新入院患者の確保に関する記事を掲載いただいた。
とは言っても、よくありがちな「集患戦略」というような視点ではなく、医療需要減少時代における戦略展開の留意点を述べさせてもらった。データ分析も独特な観点のものを示したつもりだ。

あるクライアントでは、数年前からこの切り口でのデータ分析結果を見せ、戦略を立てる際の参考などにしてもらっている。また3つの「広げる」考え方は、昨年は国立大学病院向けの講演で話をさせていただいた。つまり、今回のCBnewsの記事は数年温めていた内容とも言えるのだが、診療報酬改定の議論本格化を前にあえてこの内容をテーマにしたのは、診療報酬による誘導だけで、地域の医療システムの最適化を促すことには限界があり、地域医療構想等の概念が重要であるということを述べたかったためである。

余談だが3つの「広げる」。プレゼン用のスライドもあるのだが、3つを3次元に置き換えて、立体的にきれいに見せたい・・・と思ったものの、自分にビジュアル的なセンスがなく、イマイチな資料になってしまっている。残念だ。

2017/09/21

再入院率減少プログラムは個別医療機関の対策を超えている

COPDの再入院率減少プログラムについて話を聞いてきた。アメリカでは入院報酬の包括払い制度において、再入院率に応じたペナルティの制度が始まっている(詳しくは下のリンク参照)ことや、再入院費用自体が包括化されてしまうことが背景にある。再入院率を減少させることは病院経営に直結するため、重要な取り組みとして認識され始めているのだ。

取り組み自体は、下記のレポートを参照いただきたいが、要は、病院に入院中の患者に対する取り組みは、取り組み全体のごく一部で、様々な職種が長期間にわたって接触し、取り組みを行っている。


日本の現状にあてはめると、かかりつけ医やかかりつけ薬局の努力が入院診療報酬の向上につながるような状態になっている。

もし、再入院率減少に対するインセンティブを日本でも導入しようとしたら、現状の日本の診療報酬制度において、アウトカムでかかりつけ医・かかりつけ薬局・他院と自院に対し同時に評価するようなものはない。(ストラクチャーやプロセスでは評価する制度がある。周術期の口腔ケアや、感染対策防止加算等)

再入院率減少策をより効果的にするにはアウトカム評価が重要であり、その取り組みが広い領域・多職種にわたることを考慮するならば、既存の包括化(1日の入院包括化、1入院の包括化)の概念を越えた1エピソードの包括化などの新しい報酬制度が必要かもしれない。また、その場合に、かかりつけ医・かかりつけ薬剤師・病院間の利益配分などの新しい考え方が必要になるかもしれない。

ちょうど、先日、NEJMに再入院リスクに関して、患者の影響を排し病院の影響を独立評価できるかどうか検討した論文において、病院のクオリティの高さが、患者ファクターとは独立し、再入院率に貢献していることが示唆されたと述べられていた。(下記参照)

Hospital-Readmission Risk — Isolating Hospital Effects from Patient Effects — NEJM: Special Article from The New England Journal of Medicine — Hospital-Readmission Risk — Isolating Hospital Effects from Patient Effects

再入院率を正当に評価することは、よりよい医療が受けられることに繋がるはずである。アウトカム評価の時代は着実に近づいてきている。

2017/09/20

日本では予防接種を薬局で打つような時代が来るのか?

ウォルマートの入口で見たインフルエンザの予防接種、今日打てますよという広告。


店内でさすがに写真は撮れないので入口から見たところまで。(入口から遠くを撮っているのでボケボケになってます・・・)


処方薬の受取か、インフルエンザの予防接種かどちらか分からないが、薬局の窓口の前には、二人ほど待っている人がいた。

ドラッグストアのWalgreensもTargetもCVSも、そして小売業がメインのWalmartも、薬局関連のサービス内容に差は見られない。

日本の今後を想定する上で、面分業が進むのであれば、こういった形態の進化系・・・となるのだろう。ただここ最近の日本の薬局の動きは、門前から敷地内・門内へ勢いが活発化しているだけに、処方薬は門内・院内に、在宅対応もそちらで・・・という方向もありえるように思う。診療報酬次第で、ドラッグストアでは、調剤スペースを割き、薬剤師を配置するよりも、化粧品などの高利益率の商品を充実させるという方針も十分にありえるのではないだろうか。

かかりつけ薬局の推進や薬局での簡易検査実施などの延長線上にミニッツクリニック開設や予防接種実施が考えられると思っていた。しかし、門内薬局等の議論動向を見ていると、直近はそちらの議論に終始してしまい、本質的な受療行動を変えるような大胆な改革には至らないだろう。

Flu Shots - Walmart.com


2017/09/19

ズッキーニは麺に、カリフラワーは米に、えんどう豆はハンバーガーのパティに

昨日の続きのホールフーズマーケットで見かけたもの(正確には探したもの)。

・ビヨンドミート (Products | Beyond Meat - The Future of Protein™)
・ズッキーニヌードル
・カリフラワーライス

Beyond Meatはガイアの夜明けか何かのテレビ番組で見かけて気になっていたもの。ズッキーニヌードルやカリフラワーライスは雑誌かネットで知って気になっていたもの。

Beyond MeatのTHE BEYOND BURGERはハンバーグなどが並んでいる冷蔵ケースにおいて、結構目立つボリュームで陳列されていた。棚にも平積みにもなっていたので、相当力を入れて販売しているのだろう。

これら、単なる興味で特に深い意味はないが、病院食などで特色を出す余地として、参考になるかもしれない。

Pinterest で大人気のZucchini Noodlesレシピ Pinterest で大人気のZucchini Noodlesレシピ

2017/09/17

サービス提供者の包括化が進む未来を考える

アマゾンの買収による影響は、ホールフーズマーケットの入り口で見かけたこのポスター以外、正直、まだ分からなかった。
WHOLE FOODS MARKETの入り口で見かけたポスター
何もかもが「これから」ということをポスターが示しているように思う。

先週聞いてきた講演で、アマゾンとホールフーズマーケットの話題が出た。医療の世界がバリューベースドケアに移行し始めているものの、アメリカにおいて医療費の大半はFee for Serviceであり、Value-based Careの売上は10%にも満たないとのこと。小売業でたとえると、Value-based Careは一昔前のアマゾンのようなオンライン販売で、Fee for ServiceはWal-MartやTargetなど従来からある店舗販売のようなものだと。好きか嫌いかは別としても、オンラインの時代が着実に来ていて、アマゾンがホールフーズを買収したのは象徴的な意味を持っている。つまり、まだ売上の10%にも満たないValue-based Careではあるが、その時代が着実に来ており、それを好きか嫌いかは別としても、その時代に向け、何をすべきか、自分たちがどうありたいか考えるべきだ、というようなことを言っていた(勝手な理解なので、多少の認識ミスはお許しを)。

日本で言えば、出来高払いから包括払い(Fee for Serviceの置き換え)へのシフトが色々な領域で進んでいるが、さらにその先にはValue-basedな包括払いが待っているはずである。

そのために何をしたらよいか。何が起きるか。・・・サービス提供者の包括化が進む、なんてこともあり得るのではないだろうか。

2017/09/15

日本ならダメな広告?

ソルトレイクシティ国際空港で見かけたIntermountain Medical Centerの広告

ユタ州で最も包括的な心疾患ケアを提供する・・・って表現は日本では医療法の広告ガイドラインと照らし合わせると微妙か?

2017/09/14

国際化に「ピクトグラム」は有用

データ分析の勉強などが目的でソルトレイクシティに。


TOBACCO FREE ZONEは「タバコが自由に吸えるゾーン」ではなく、「タバコのないゾーン」。絵の通り、禁煙エリア。

敷地内禁煙、歩道にも表記が - 医療、福祉に貢献するために

台湾のようにNo Smokingとしてくれた方が直感で理解できるのは、自分の英語力の無さが原因。英語力は永遠の課題。そして、大人から子どもまで語学力の乏しさをある程度カバーしてくれるピクトグラムの素晴らしさを再認識。日本の病院でピクトグラムが充実しているところも多いように思う。オリンピックなどがきっかけでさらに充実していくことだろう。

2017/09/12

11月19日、日経ヘルスケア主催のセミナーをMMオフィス工藤氏と担当させていただきます

11月19日、MMオフィス工藤氏とセミナーを担当させていただくことに。前回改定の直前の第1回からすでに3回開催させていただいた。毎回、貴重なご意見など頂戴でき、こちらが想定していないような質問を工藤氏にライブでぶつけることで、様々な視点や考え方を引き出すことが醍醐味だと感じている。

今回も、改定を意識しつつ、なるべく参加者の皆様が参考になりそうな質問をぶつけられるようデータ等の準備をしたい。

病院サバイバル時代の経営戦略 病院サバイバル時代の経営戦略

ちなみに、他の一般的な診療報酬改定とはまったく異なるテイストなので、その点はご留意を。

2017/09/11

都立病院経営委員会が今週14日に

第4回都立病院経営委員会が14日夕方に開催されるようだ。

第4回都立病院経営委員会「今後の都立病院の経営力向上に向けた取組」に関する検討部会の開催について | 病院経営本部からのお知らせ | お知らせ | 東京都病院経営本部 第4回都立病院経営委員会「今後の都立病院の経営力向上に向けた取組」に関する検討部会の開催について | 病院経営本部からのお知らせ | お知らせ | 東京都病院経営本部

さすがに急すぎてスケジュール調整ができない。前回聞いて非常に有益だっただけに、次回もぜひと思っていたのだが・・・。

前回の感想は下記に。
病院経営改革の話が聞けるんです、しかも無料で - 医療、福祉に貢献するために 病院経営改革の話が聞けるんです、しかも無料で - 医療、福祉に貢献するために

お時間の都合がつく方は傍聴されてみてはいかがだろうか。(表題だけでは、どのような内容の議論をされるのか把握しかねるが・・・)

2017/09/09

看護必要度をメインテーマにしたセミナー

今日は看護必要度をメインテーマにしたMMオフィス工藤氏と、元同僚の上村氏のセミナーに。


上村氏は自分にとっての看護必要度データ分析の先生みたいなものなので、現在の自分があるのは彼女のおかげ!?、である。

次回改定が未定な中で、どういった情報を見ていけば良いか、ベッドコントロールに対しどう考えれば良いか等、お二人の異なる観点から整理された内容を聞いて、自分の考えが非常にすっきりした。

また、工藤氏には弊社の資料をいくつか引用いただき、感謝。しかも、意外なことに、その資料の説明を聞いて、自分が考えていなかったことを教えてもらえた。

ちなみに参加者が70名を超える盛況ぶり。講師おふたりの魅力はもちろん、テーマがキャッチーだったのだろう。

2017/09/06

看護必要度の議論には、患者像、病院像に迫るデータの準備が必要だ

先月、中医協の入院医療の分科会を傍聴しながら考えていたことを書いた。

看護必要度の議論には、マクロな情報とミクロな情報をバランス良く揃えることが重要 - 医療、福祉に貢献するために 看護必要度の議論には、マクロな情報とミクロな情報をバランス良く揃えることが重要 - 医療、福祉に貢献するために

看護必要度の議論は、病院団体などを中心に「慎重に」という意見が多く出てきており(看護必要度見直しけん制、日病や日看協がタッグ - 医療介護CBnews)、主張している点は非常に良く理解できる。一方で、改定でまったく手をつけないことも考えにくいだけに、限られた時間で建設的な議論がなされることが重要だろう。

冒頭で引用した先月のブログ記事では、看護必要度の数値の散布図を見て、次のように述べた。
マクロな視点で、下記のような看護必要度が30%台後半、40%台の病院がある・・・ということが示されたのは面白かった。分科会では「スーパー10対1」といったように言われていたかと記憶しているが、このような病院の実態をミクロな視点で把握することは、何かしら参考になると思う。
ミクロな視点で捉えるべく、病床機能報告のデータから分析を試みた。その分析結果を交えながら、あるべき制度設計についてCBnewsの記事で述べさせていただいた。

同じ看護必要度でも7対1と10対1では患者像は異なる - CBnewsマネジメント 同じ看護必要度でも7対1と10対1では患者像は異なる - CBnewsマネジメント

かなり分かりにくい表現・分析結果になってしまったと反省しているが、いつもながら校正で大幅に見直していただき、何とか形にしていただいた。個人的には非常に興味深いデータで、多くの示唆を得ることができた。

議論はただ時間をかければよいのではなく、必要なデータを揃えた上で議論することが重要である。看護必要度の制度検討には、背景に患者の受療行動の変革や、行政の意識改革など、オペレーションを変えていくのに時間のかかる部分があることは事実だが、議論に耐えうるデータがないことを理由に制度検討自体に時間をかける必要はない。このような理由で慎重に議論を進めていれば、2025年、2040年はあっという間にやってきてしまうだろう。

2017/09/04

まるまる一冊の本をダウンロードできる病院ウェブサイト

患者向けに情報発信している病院は多い。
病院のウェブサイトがあるのはほぼ当たり前になっており、広報誌をウェブで配信しているところも珍しくない。また積極的なところではYoutubeなどで動画配信しているところもある。

何気なく見た大阪急性期・総合医療センター(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター)のウェブサイトで驚いた。

患者向けに書かれ、販売されている本がウェブ上で読め、ダウンロードもできる。
(下記サイトにダウンロードのリンクあり)

当センターの最新治療がわかる本 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター 当センターの最新治療がわかる本 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター

太っ腹!!!

この本に書かれていることはこの病院固有の情報ではないため、この病院に関係ない人でも参考になるだろう。また、中身を書いているのは医師だけでなく、看護師や薬剤師、検査技師、歯科衛生士など様々な職種の人たちが携わっている点は興味深い。

2017/09/03

大学病院の特殊性を示せなければ、さらなる効率化は不可欠

先日、DPC評価分科会の開催前に、厚労省案に対する私見を述べた。
カバー率は重み付けを軽くすべきでは

MMオフィス工藤氏が、分科会で討議された内容についてコメントしている。
同意見でホッとした(一緒に原稿を書かせていただいたり、工藤氏から少なからず影響を受けているので、当然といえば当然なのだが)。

なお、議事録等を見なければ、はっきりと言うことはできないが、効率性について、大学病院は重症な患者を見ているから在院日数を縮めるのは難しいといった意見が出たようだ。しかし、これにはエビデンスが必要だろう。むしろ、大学病院は同じ疾患を見ていても若年層が多く、全身状態は悪くないことも考えられる。特に、重症度、医療・看護必要度の尺度で言えば、大学病院こそ現状の25%が厳しいという話も聞いている。それだけに「議論に耐えうるエビデンス」が示されることが望まれる。(大学病院の特殊性を提示できれば、大学病院にインセンティブが与えられるはずであり、その苦労は決して無駄にならないと思う)

2017/09/01

カバー率は重み付けを軽くすべきでは

今日午後開催予定のDPC評価分科会。資料がアップされている。

中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)審議会資料 |厚生労働省 中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)審議会資料 |厚生労働省

資料を見ると、機能評価係数Ⅱについて、救急医療係数の評価およびⅠ群・Ⅱ群の重み付けの議論がなされるようだ。

重み付けは賛成である。医療機関の負担と努力を報酬で評価することは重要であり、適切なインセンティブは医療の質を向上させる。重み付けの資料の対応方針(案)を見ると、次のように書かれている。
○ 総合的な体制を既に有していると考えられるⅠ群については、在院日数短縮の努力を促すために、効率性係数を重み付けすることとしてはどうか。
○ 在院日数短縮について既に一定の取組を評価出来るⅡ群については、総合的な体制をより評価するため、カバー率係数を重み付けすることとしてはどうか。
Ⅰ点目の効率性係数、強く同意。ただ、単に「在院日数短縮」を促すのではなく、「疾患ごとの相対的な評価により適切かつ効率的な病床利用」を促すと言った方がよいだろう。個人的には、どのような反論・意見が出てくるか、楽しみである。

2点目、カバー率。なぜそうする?? 以前から、カバー率は病床数に依存していて、努力余地がない・少ないと言ってきた。データからもその特徴は明らかであり、大病院を優遇する係数と言って良いだろう。

参考までに、そのことを述べるために使ってきた資料の一部を紹介する。

以前、カバー率の努力余地はまったくないと述べていたが、
千葉大の井上先生の話を聞き「高回転化で多少伸びる」とトーンを変えた

DPC算定病床数でカバー率係数は決まることを示した散布図

年10症例を超える疾患数と病床数の関係(※カバー率の評価は月1症例以上が対象)
・箱ひげ図の「ハコ」が小さい⇒病床数に強く依存
・箱ひげ図の「上のヒゲ」が短い⇒病床数の縛りを超えてカバー率の高い病院はほとんど存在しない
・箱ひげ図の「下のヒゲ」が長い⇒病床数の縛りを超えてカバー率の低い病院はある(専門病院等)
こっちの制度で大病院を評価し、あっちの制度で専門病院を評価し、そっちの制度で中小病院を評価し・・・なんてことをしていれば、制度を複雑化させているだけで結局のところ意味がない。

重み付けをするのであれば、カバー率はむしろ評価を軽くすべきだと思う。今日の分科会でそのような意見が出てくることを期待したい。

なお、カバー率係数自体が不要というのが自論ではあるが、もしⅡ群・Ⅲ群間の移動の不公平さの解消を目的として重み付けを調整するのであれば、やや賛成である。その不公平さについては以前MMオフィス工藤氏とCBnewsで記事にさせていただている。

2017/08/28

ニッチなマーケティングを学ぶ好例

偶然。

先日、入院医療等の評価分科会における看護必要度の話題で、東京都渋谷区の伊藤病院のことを取り上げた ⇒ 看護必要度の議論には、マクロな情報とミクロな情報をバランス良く揃えることが重要

今日、CBnewsに伊藤病院の話が載っていたので、驚いた。

都心部の中小病院は今 山手線沿線を歩く・後編 - CBnewsマネジメント 都心部の中小病院は今 山手線沿線を歩く・後編 - CBnewsマネジメント

もちろん、たまたま。CBnewsの記事は経営戦略を考える上で非常に参考になる(他でマネできるという意味ではない)。必読だ。

2017/08/25

看護必要度の議論には、マクロな情報とミクロな情報をバランス良く揃えることが重要

昨日開催された入院医療等の調査・評価分科会(中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会)審議会資料 |厚生労働省)を傍聴してきた。

看護必要度のデータが示されたのだが、現場の医療従事者のケアの負担に対する「適切な評価」と、看護必要度を評価するための研修等も含めた「作業負担」についてフォーカスがあたっていたように思う。前者「適切な評価」については論点が曖昧で、提示されたデータでは核心に踏み込むことができていないように感じた。一方後者「作業負担」は、DPCデータを活用し評価ができないか意見が出されていた。

個人的な考えは、以前CBnewsで述べたとおりで(下記の記事を参照いただきたい)、昨日の分科会でも話題が出ていた評価期間の問題があるならば、機能評価係数Ⅱに盛り込んでしまうような方法もあるだろうと考えている。

看護必要度の評価は要らない!? - CBnewsマネジメント 看護必要度の評価は要らない!? - CBnewsマネジメント
昨日の分科会で示された看護必要度のデータは、調査票を用いたものが多く、Hファイルを用いたものはほとんど無いように思われたため、あまり興味深く感じたものはなかった。ただ、参考までにマクロな視点で、下記のような看護必要度が30%台後半、40%台の病院がある・・・ということが示されたのは面白かった。分科会では「スーパー10対1」といったように言われていたかと記憶しているが、このような病院の実態をミクロな視点で把握することは、何かしら参考になると思う。
平均在院日数と看護必要度の関係(昨日の分科会資料から引用)

ご参考までに、昨年度の病床機能報告で、東京都渋谷区の伊藤病院の看護必要度は39.3%、平均在院日数は6日くらいになっているので、この上の図で見ると、7対1の上位1%くらいの病院であると思われる。

平成28年(2016年)報告 区西南部二次保健医療圏における医療機能ごとの病床の状況(許可病床) 東京都福祉保健局

伊藤病院 13_1303_11328441itobyoin.pdf

伊藤病院が上位1%と言われれば、誰もが納得のような気がするのだが、在院日数が長くて、看護必要度の高いような病院についても調べると、この看護必要度の問題点が見えてくる・・・。

2017/08/15

地域医療介護総合確保基金は人口で比例配分しなくなりつつある

地域医療介護総合確保基金。29年度の医療分の内示について公表されていた。

平成29年度地域医療介護総合確保基金(医療分)の内示について |報道発表資料|厚生労働省 平成29年度地域医療介護総合確保基金(医療分)の内示について |報道発表資料|厚生労働省
基金について知りたければ、下記資料あたりを見るのが良いだろう。


この基金、当初は都道府県に配分した金額が「結局、人口に応じた比例配分か」と思っていたのだが、いよいよ変わってきたのかもしれない(直感でそう思った)。


そこで、縦軸に各年度の都道府県の内示額(医療分)(出所: 厚生労働省 各年度公表資料)、横軸に都道府県別の65歳以上人口(出所: 総務省 日本の統計2017)を取り、都道府県をプロットした。下に平成26年度、27年度、28年度、29年度の4つのグラフを示す。




各グラフをざっと眺めるとそれほど変わっていないように見えるかもしれない。しかし、エクセルで簡易的に引いた回帰直線の相関係数を見ると、相関係数が徐々に下がってきている。


つまり、65歳以上人口だけで単純配分しているわけではなくなってきている・・・ということが言えるかもしれない。(もちろん、厳密な評価ではない。感覚を確かめたレベルでしかない)

さらに、東京・大阪を除いた45道府県と、小規模都道府県のみ(65歳以上人口100万人以下の37県)の相関係数を比較した。


小規模の37県での係数はかなり小さくなっている。基金はもはや人口とほぼ関係ないと言えるレベルだ。

いよいよ中身で勝負するものになってきたと言えるのかもしれない。

2017/08/14

役割・機能から地域包括ケア病棟を選択することの重要性

日経ヘルスケア 日経ヘルスケア
日経ヘルスケアの8月号、地域包括ケア病棟活用術の特集にコメントを載せていただいた。

上記の部分、今なら日経ヘルスケアのサイトの
「立ち読み」機能でお読みいただけるようです
特集記事を読んで、地域包括ケア病棟は、地域における「役割・機能」を第一に考え設置検討すべきであり、報酬はついてくるものだと感じた。もちろん、報酬も重要だが、報酬第一で考えると大きな方向を見誤るかもしれない。

2017/08/08

医療区分から患者背景の違いが見えてくると課題は自ずと見えてくる

療養病床のあり方について、先々月くらいから定期的に訪問させていただいている、とあるクライアント向けに検討。ちょうど、先週、入院医療等の調査・評価分科会と介護給付費分科会が開催されたのでその資料を参考にする。

中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会)審議会資料 |厚生労働省 中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会)審議会資料 |厚生労働省


介護給付費分科会審議会資料 |厚生労働省 介護給付費分科会審議会資料 |厚生労働省

医療療養病棟について、医療区分による様々な項目が比較されている。出来高換算した点数の箱ひげ図も興味深いが、その点についてはCBnewsなどが報じていた(療養病棟に「DPCデータ提出必須化」案 - CBnewsマネジメント)ので、少し異なる視点を。医療区分の違いによる退院に向けた目標・課題の比較を下に示す。詳しい内容は配布資料を参照いただきたい。
平成29年度第5回 入院医療等の調査・評価分科会 配布資料 P.65を基に作成
「看取り(死亡退院)」と「転院先の医療機関の確保」を主な退院に向けた目標としている割合は、医療区分3>医療区分2>医療区分1、の関係になっている。

一方で、「在宅医療・介護等の調整」「入所先の施設の確保」は、区分3<区分2<区分1と真逆になっている。

当然といえば当然の結果だが、改めてこの結果から言えるのは、医療区分1の70%を在宅で見ることを目指すのであれば、入所施設と在宅医療・介護の充実が求められることとなる。入所先の整備について、ハード的なものを新規に作るのは、財政的にも時間的にも厳しいだけに、介護医療院の役割に期待が寄せられるところだろう。介護給付費分科会と平仄をしっかり合わせないと、患者が難民化するか、医療・介護関係施設の経営が厳しくなるか、いずれか(もしくは両方)の未来が待ち受けているのではないだろうか。

2017/08/07

四国入り断念、分析に専念

今朝から、台風の影響で右往左往。今日は四国の大学院で講義の予定だったものの、飛行機が欠航になり、瀬戸大橋が運休・通行止めになり、いよいよ手段が断たれてしまった。
ほどなくして学校から休講の連絡も入り、羽田空港から帰宅。

土曜の時点で福岡にいたので、直接四国入りも考えていたのだが、甘く見ていた・・・。

能天気に福岡県内の列車を乗りつぶしていたときの写真
筑豊本線 原田線のワンマン列車
今回は、土曜の時点で東京に戻ることにしていたので、18切符を買わず、SUICAで移動。ただ、上の写真の原田線はSUICA(SUGOCA)は使えないエリアゆえ、筑前山家などでも降りられない。

18切符で鹿児島から帰宅したのは2年前か・・・。(今年もどこかに行きたいなぁ・・・)

2017/08/06

日曜日も病院に・・・

今日は近所の成育医療研究センターに。と言っても、仕事ではなく、夏祭りに。
携帯で写真を撮ったら、全然きれいに写らなかった・・・
おもてなしぶりが半端じゃなくて、終始、こちらが恐縮しっぱなし。こんなに楽しませてもらっていいの?というくらい家族が遊ばせてもらい、大満足して、帰宅。

今日の夏祭りは病院の中庭で開催されていたのに病院主催ではなく、病院そばの商店街が主催しているもの。そして、病院や近くの社福、大学などが協力しているという変わった形態。成育はナショナルセンターで、おいそれと足を踏み入れることはない病院なのだが、地域にとってなくてはならない病院であり、そして開かれた病院として努力していることを強く感じた。

夏まつり盆おどり大会のご案内【8/6(日)】 | 国立成育医療研究センター 夏まつり盆おどり大会のご案内【8/6(日)】 | 国立成育医療研究センター

2017/08/04

地域医療構想調整会議の尊重によるソフトランディング推進

地域包括ケア病棟をテーマに、病院経営の安定化と人員調整の最適化の両立とソフトランディングについて述べた。

ソフトランディングできる制度を求めている - 医療、福祉に貢献するために

ソフトランディングの意義を考えるならば、病院の機能・規模に関係なく、誰もが検討すべきことである。ただし、大病院が周辺の中小病院のことを無視して、医療システムを壊すような方向に進もうとするのであれば、それは問題だろう。しかし、周辺病院が望むのであれば、大病院こそ、ソフトランディングすべきだと思う。

地域医療構想調整会議で、合意が得られるのであれば、500床以上の大病院であろうと、特定機能病院であろうと、地域包括ケア病棟への機能転換が許されてもいいのではないだろうか。全国一律に制約を課していることに、一体何の意味があるのか。地域医療構想の議論が適切になされている前提に立てば、一律の制約は極力無くしていくべきと思う。

これからの医療は、診療報酬制度でがちがちに縛るのではなく、地域医療構想調整会議の議論を尊重すべきだろう。

2017/08/03

ソフトランディングできる制度を求めている

人員調整を回避するにも地域包括ケア病棟は有効 - CBnewsマネジメント 人員調整を回避するにも地域包括ケア病棟は有効 - CBnewsマネジメント
昨日、CBnewsに地域包括ケア病棟に関する記事を掲載いただいた。

診療報酬は、大きなビジョンに基づき改定されることを考えるならば、ワイングラス型から砲弾型への転換を強く意識したものとなることはごく自然の流れである。そして地域医療構想との関係性を考えるならば、病床機能報告上の「回復期」への機能転換を推し進める策が練られるはずである。

この方向性において、地域包括ケア病棟が果たす役割は非常に大きい。疾患や病態を細かに制限することなく、ポストアキュート・サブアキュートの患者の受け皿として、ある程度の診療報酬を得ることができる【経営的な安定】。そして、7対1・10対1から機能転換すれば、13対1(加算込みで10対1)の配置になることで、若干の人員確保に余裕が生まれる。これは7対1から10対1への病院全体のダウングレードなどに比べれば、極めてマイルドな人員調整である【人員配置の適正化】。

この経営的な安定と人員配置の適正化の2つのソフトランディングを目指すことこそが、日本の医療制度の持続可能性と地域の医療の持続可能性を高めるものだと考えている。

・・・といったことを考えた場合、現状の地域包括ケア病棟の診療報酬制度は、中小規模の病院に不利ではないだろうか? 解決策もあるのでは?ということを述べさせていただいた。よろしければCBnewsをご覧いただきたい。

余談だが、自分は病床機能分化の図において「ワイングラス型」と「砲弾型」と表現している。砲弾型を「ヤクルト型」と呼ぶ人もいるようだが、ヤクルトは固有名詞。お役所的な文書には使えない表現らしい。以前、ヤクルトに代表されるような乳酸菌飲料の話題をブログに書いた。ちなみに中身は地域包括ケア病棟とはまったく関係ない。


2017/08/02

病院経営改革の話が聞けるんです、しかも無料で

弊社7月末決算で、8月から新たな年がスタートした。初日は大学病院から。色々と気が引き締まる思いで話を伺い、また、話をさせていただいた。

午後、都内のクライアントに立ち寄り、夕方は、5年前の初心に返り、都立病院の経営委員会を傍聴。
昨期はありがたいことに似たような委員会の委員を務めさせていただく機会を頂戴したり、日々のコンサル等でもそうだが、どちらかと言うと、こちらがアドバイスする側に立たせていただくことが多くなっている。5年前、暇を持て余し、会議を傍聴したり、介護の現場のお手伝いをしたりしていたことを思い出しながら、都立病院の会議を傍聴させていただいた。

都民税を納める一都民として・・・といったくらいの軽い気持ちで傍聴したのだが、「これ、無料で聞いてしまっていいの?」「お金払ってでもみんなに聞いてもらった方がいいよ」というレベルの会だった。

済生会熊本・済生会横浜市東部病院などを経て、現在は神奈川県の済生会の支部長をされている正木さんから、165キロのストレート・豪速球のようなコメントが突き刺さり、しびれまくった上に、最後は、小牧市民病院の院長を務められ、現在は小牧市の病院事業管理者をされている末永先生の講演を拝聴できた。自治体病院の役割等を述べられていたが、話はPFIの問題点などにおよんだ。この講演は、学会等の場で行われる「多くの病院関係者」を対象としたものではなく、「都立病院の経営に関係する人」を対象としているだけに、何を言わんとしているかが明確で、皆が改革に対する覚悟を持たなければならないというニュアンスが非常に伝わってきた。

軽い気持ちで傍聴したものの、むしろ、お金を払うべきであった。6期目のスタート、非常に気が引き締まった。

2017/07/26

認知症ケア加算は大病院ほど、改定直後から算定できた

「平成28年 社会医療診療行為別統計 平成28年6月審査分」を基に、認知症ケア加算の算定状況を見た。

平成28年社会医療診療行為別統計の概況|厚生労働省 平成28年社会医療診療行為別統計の概況|厚生労働省
改定直後とも言える6月審査分(≒5月診療分)の算定のため、改定に対するクイックな反応を見ることができる。

まず、認知症ケア加算1と2の比率。病床規模別に見ると、300床以上は認知症ケア加算1の算定がほとんど。300床未満は病床規模が少ないほど認知症ケア加算2の比率が高くなっている。


病院の種類で見ると、療養病床を有する病院と一般病院の比率が1対1くらい。




注:「一般病院」は社会医療診療行為別統計における区分(精神病床のみの病院、特定機能病院、療養病床を有する病院のいずれにも該当しない病院)

 入院料の算定日数に対する認知症ケア加算の算定件数の比率を病床規模ごとに比較すると、病床規模が大きいほど算定率が高くなっている。
※算定率の分母から、精神病床のみの入院料の算定日数は除外していない

病床種類別に比較すると、一般病院の算定率が高くなっている。特定機能病院や療養病床を有する病院や一般病院といった区分に関係なく、DPC算定対象病院だけでの算定率は、特に高くなっている。


認知症ケア加算のように、「1病棟あたり○○人配置」というような要件がないものは、基本的に病床数の多い病院が有利だ。特に、医師・看護師等の資格要件が厳しいものについては中小病院にとって高いハードルとなってしまうだろう。また、病院分割しているようなケースにおいて、こういった人員配置の要件はネガティブに働くと言えよう。

2017/07/23

敷地内禁煙、歩道にも表記が

金曜から台湾に。いくつかの病院を見て回る。
台湾は病院内禁煙らしく、通りに面した病院ではその歩道にも禁煙の表記が。

歩道に面した病院の入り口

歩道のサイン

これから帰国。せっかく来たのに、短すぎてもったいない・・・。

2017/07/22

病棟再編成とは、自院のビジョンと国・地域のビジョンの整合性を図ることだ

MMオフィス工藤氏のfacebookやブログ(下記)にて、昨日のランチョンセミナーの資料が公開されている。

神戸ポートピアホテルで日本病院学会ランチョンセミナ−講師|「なんちゃって医療経営学」 ㈱MMオフィス代表 工藤 高のブログ 神戸ポートピアホテルで日本病院学会ランチョンセミナ−講師|「なんちゃって医療経営学」 ㈱MMオフィス代表 工藤 高のブログ

この資料には、弊社の資料も一部引用くださっていて光栄だ。

P.11~13の地域医療構想・病床機能報告の病床機能区分と入院単価の資料は必見だ。ただ、この資料を基に『話した内容』が極めて大事であったと思われる。病棟再編成の戦略(≒自院のビジョン)と国・地域の方向性と同一致させるか、という情報がP.13に凝縮されている。

このP.13に病院団体の主張を重ねれば、どのポジションを選択しても、経営が成り立つようにして欲しい、ということになる。個人的には「適切な努力をすれば」経営が成り立つべきだと思っている。努力の範疇を超えた部分は、診療報酬で手当てすべきだと考えている。

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